エジプトで183人に改めて死刑判決 人権団体が非難

2013年8月のデモでは1000人を超える死者が出た

2015.02.03 Tue posted at 18:43 JST

カイロ(CNN) エジプトの裁判所は2日、2013年8月に起きた警察署襲撃事件の被告183人に改めて死刑判決を言い渡した。これに対し、国際人権団体から非難の声が上がっている。

エジプト国営中東通信(MENA)によると、被告らは警察官11人と民間人2人を殺害した罪で有罪判決を受けた。183人のうち34人は被告不在のまま裁判にかけられていた。被告は全員、さらに上訴することができる。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(AI)のハッシバ・ハジ・サラウィ氏は同日、「エジプト司法制度の偏向を示す例がまたひとつ増えた」と非難。「判決を破棄し、全被告について国際基準に適合する公正な裁判をやり直す必要がある」と述べた。AIは死刑制度そのものについても廃止を主張している。

サラウィ氏はまた、「警官の殺害に絡む事件では事実にかかわらず、大量の死刑判決を出すのが通例となりつつあるようだ」と指摘した。

AIによれば、エジプトではこれまでに警官殺害にかかわる計4回の裁判で415人が死刑を言い渡されている。

一方で、11年にデモを弾圧した罪で起訴されたムバラク元大統領には昨年末、事実上の無罪判決が言い渡された。警察署襲撃事件に先立つ13年7~8月、ムルシ前大統領支持派のデモ参加者1000人余りが死亡したとされる強制排除についても、治安部隊員らの刑事責任を問う動きはない。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチもAIと同様の批判を展開し、1000人の死者を出した強制排除は人道犯罪に当たるとの見方を示した。

エジプトでは11年に大規模な反政府デモでムバラク政権が崩壊した後、初の民主的選挙でイスラム組織「ムスリム同胞団」を支持母体とするムルシ前大統領が就任。しかし前大統領は13年夏、軍事クーデターで追放された。ムスリム同胞団は非合法化され、昨年就任したシーシ大統領は前大統領派への締め付けをさらに強めている。

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