エジプト、アルジャジーラ記者1人を釈放 依然2人が収監

昨年の裁判時のピーター・グレスト記者。このほど釈放されたことが分かった

2015.02.02 Mon posted at 10:21 JST

カイロ(CNN) エジプト当局は1日午後、約1年前に拘束した中東の衛星テレビ局アルジャジーラのジャーナリスト3人のうち、オーストラリア人のピーター・グレスト氏を釈放、送還した。内務省報道官が発表した。

担当弁護士によれば、グレスト氏はエジプト国内法に基づき、出身国のオーストラリアへ身柄を引き渡された形で、帰国後改めてオーストラリアで裁判にかけられるという。

グレスト氏とともに拘束されたアデル・ファハミ、バヘル・ムハンマド両氏は依然として収監されている。ファハミ氏はエジプトとカナダの二重国籍を持ち、ムハンマド氏はエジプト人だ。3人は2013年7月の軍事クーデター後に非合法化されたイスラム組織、ムスリム同胞団を支援したとして同年12月に拘束され、裁判で有罪を言い渡された。

本人たちはこれまで一貫して無実を主張。アルジャジーラや世界各地ジャーナリストらも、「ジャーナリズムは犯罪ではない」として3人の釈放を求める運動を展開してきた。エジプト最高裁は最近、3人の上訴を受けて再審を認める判断を下していた。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルなどは、中東カタールがアルジャジーラに出資し、ムスリム同胞団への支援でも知られていることに着目。グレスト氏らはエジプトとカタールの対立に巻き込まれたとの見方を示している。

国際NPOのジャーナリスト保護委員会(CPJ)や国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は1日、エジプトのシーシ大統領に対し、ファハミ、ムハンマド両氏をはじめ同国で拘束されているジャーナリストを早急に赦免、釈放するよう呼び掛けた。

エジプトでは昨年11月、大統領に外国人送還の権限を与える法律が成立していた。ムハンマド氏の妻は1日、CNNとのインタビューで「わが国では外国人の方が重要なのか」と問い掛け、夫はジャーナリストとして公正にニュースを伝えていたと強調した。

ファハミ氏の母は同日、報道機関への談話で、同氏がC型肝炎を患い、肩を負傷していると訴え、シーシ大統領に赦免を求めた。

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