(CNN) 後藤健二さん(47)を拘束しているイスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」がヨルダンのサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放を要求している事件は、ISISが新たな期限としていた現地時間の29日日没を過ぎた。
岸田外相は30日未明、記者団に対し、まだ状況は流動的だとした上で、「引き続き緊張感を持って全力で取り組んでいく」と語った。
ISISのものと思われる声明ではヨルダンに対し、現地時間の29日午後5時半までにリシャウィ死刑囚をトルコの国境まで連れて来なければ、拘束しているヨルダン軍のパイロット、モアズ・カサスベさんを殺害すると予告していた。
ヨルダン政府はカサスベさんと引き換えにリシャウィ死刑囚を釈放する用意があると表明。政府報道官は期限が1時間後に迫った29日夕刻の時点で、まだカサスベさんの生存が証明されていないため交渉を成立させることができないと述べ、「先へ進むためには生きているという証拠が必要だ」と強調した。
もしカサスベさんの生存が証明され、リシャウィ死刑囚が釈放されたとしても、後藤さんが解放されるかどうかは不明だ。カサスベさんが解放されるという保証もない。
後藤さんの妻は29日、フリーランスジャーナリストを支援する非営利組織「ロリーペックトラスト」を通じて英文の声明を発表。「夫は善良で正直な人で、苦しんでいる人たちの窮状を伝えるためシリアに行きました」「ヨルダンと日本の政府は、2人(後藤さんとカサスベさん)の運命が彼らの手の中にあることを、どうかご理解ください」と訴えた。
後藤さんが昨年秋に日本を離れた時、末娘はまだ生後3週間だったという。妻は12月2日から1月28日にかけて、後藤さんを拘束しているグループから「最後の要求」とする電子メールが送られてきたことも明らかにした。
カサスベさんの父は期限が過ぎた29日夕、再び記者団の取材に応じ、「アラーと預言者の名において、私の息子、そしてすべてのヨルダン人の息子の解放を求めます。息子はイスラム教におけるあなた方の兄弟であり、許しは預言者が伝えている言葉です」と語った。
後藤さんの状況依然不明