(CNN) 複数の情報筋から26日に入った情報によると、シリア北部の要衝アインアルアラブ(クルド名コバニ)でイスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」と戦ってきた地元民兵組織「クルド人民防衛隊(YPG)」が、ISISを撃退して同市を奪還した。
コバニ当局の高官はCNNとのインタビューで、YPGが同市を掌握していると宣言。「このままいけば27日に正式な発表がある」と述べた。YPGは同市の解放宣言に向け、街にISISの残党が潜んでいないことを確認しているという。
同高官はまた、避難民が安全に通行できる「人道回廊」の迅速な設置を呼び掛けた。
YPGの報道官は「全人類とクルド人、コバニ市民に向けて、コバニの解放を祝う」とツイートした。
市当局者が匿名で語ったところによれば、YPGは住宅を一戸ずつ見回り、爆発物などのわなが仕掛けられていないかどうかを確かめたうえで、住民に帰宅を促す方針だという。
コバニはトルコ国境に近いクルド人の街。英ロンドンに拠点を置く非政府組織(NGO)「シリア人権監視団」によると、ISISが最初に同市郊外へ侵攻した昨年10月6日以降、ISISとYPG、YPGを支持する反体制派部隊の戦闘で、ISISの戦闘員979人が死亡。YPGでは324人、反体制派は12人が死亡した。
さらに米国主導の有志連合によるコバニへの空爆で、ISIS側に数百人の死者が出たとみられる。空爆や仕掛け爆弾、砲撃の影響で、人が住める状態ではなくなっている地域も多い。
一方、イラクのアミリ運輸相は25日のテレビ・インタビューで、中部ディラヤ州で実施した大規模なISIS掃討作戦が成功し、同州が「ISISから解放された」と発表した。作戦は先週から始まり、ジャーナリスト2人を含む少なくとも58人が死亡、300人近くが負傷した。
イラク治安部隊は、遠隔地の農場などに逃げ込んだISISの残党を追っているという。
シリア北部の要衝、クルド人部隊がISISを撃退