人質交換で指名のリシャウィ死刑囚、ISISとの関係は

2015.01.26 Mon posted at 15:09 JST

(CNN) イスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」が人質の後藤健二さんと引き換えに釈放を要求しているサジダ・リシャウィ死刑囚。2005年にヨルダンのホテルで起きた連続爆弾テロ事件に関与した女として知られる。この事件でリシャウィ死刑囚は、身に着けた爆弾が爆発せず、自爆に失敗した。

だがISISはなぜ、この女の釈放を要求しているのか。ISISとはどんな関係があるのか。

ISISの支持者がインターネットに投稿したとされる声明では、リシャウィ死刑囚を「投獄された姉妹」と呼び、後藤さんとの交換を持ちかけている。

リシャウィ死刑囚についてはヨルダンで当局に拘束されて以来9年の間、動向が伝えられていなかった。

2005年11月にテレビ放映された映像でリシャウィ死刑囚は、ヨルダンのホテルを狙った一連のテロ事件に加わろうとしていたと冷静な口調で振り返っていた。この事件では少なくとも57人が死亡した。

「夫は爆弾を爆発させ、私も自分の爆弾を爆発させようとしたが失敗した」「人々が走って逃げた。私も一緒に走って逃げた」。そう語るリシャウィ死刑囚は無表情だった。

映像の中の同死刑囚は頭部を白いスカーフで覆って黒い着衣を身に着けた姿。爆弾を装着してテープを乱雑に巻き付けたベルトを示して見せた。

現在の年齢は40代。ヨルダン当局によれば、夫のフセイン・シャマリ容疑者と共に、ラディソンホテルを狙った自爆テロを実行しようとしていたとされる。

夫の爆弾は爆発し、同ホテルの宴会場で結婚披露宴に出席していた38人が死亡。一連の事件では、3つのホテルで自爆した男3人と、居合わせた57人が死亡した。

リシャウィ死刑囚はこの事件について、「夫がすべてを計画した」と自供している。

同死刑囚は2006年に死刑を言い渡された。しかしヨルダンはその年に死刑の執行を停止。昨年12月から執行を再開している。

ヨルダン当局は事件当時、この犯行はイラクのテロ組織アルカイダが計画したと述べていた。同組織は当時、ヨルダン出身のアブ・ムサブ・ザルカウィ指導者が率いていた。

ザルカウィ指導者は2006年6月に米国の爆撃で死亡した。イラクのアルカイダが使っているウェブサイトでは、ヨルダンに攻撃されたと主張していた。

この攻撃の後に同国副首長は、リシャウィ死刑囚はザルカウィ指導者の「右腕だった男」の姉妹だと述べていた。この男はイラクのファルージャで死亡した。

米陸軍特殊部隊の元司令官ジェームズ・リーズ氏によれば、ISISを率いるアブ・バクル・バグダディ指導者は、ザルカウィ指導者の側近だった人物だという。「ここにこの女とのつながりがある」「(ISISは)関係者を取り戻し、宣伝の一助にしようとしている」とリーズ氏はみる。

アルカイダは2014年2月、内紛の末に分裂したISISと関係を絶った。ISISは2004年、イラクとシリアのスンニ派地域をまたぐイスラム国家の建設を目指し、「イラクのアルカイダ」として創設されていた。

リシャウィ死刑囚とは何者か

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