(CNN) 米国防総省は16日、シリア内戦に関連し、反政府派武装勢力の穏健派に対する軍事訓練や装備品供給などに従事させるため米軍の教官約400人と数百人規模の兵士の派遣を今春の早い時期から開始すると発表した。
訓練は6~8週間で、教官らが派遣される国はトルコ、カタールにサウジアラビアの3カ国となる。
訓練などを受けるのは、シリア内でアサド政権軍、イスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」や「ヌスラ戦線」などアルカイダ系の組織と戦う穏健派勢力。
米国防総省のスミス報道官によると、トルコなどの3カ国は訓練施設の提供に合意した。
同報道官は声明で、訓練開始や装備品の供給の目的は穏健派勢力によるシリア住民の保護の能力拡大、支配地域の情勢安定化やISISに対する攻勢強化などと説明。穏健派の戦闘能力などを高めることは交渉を通じた内戦終結のための環境作りにもつながるとも述べた。
米政府当局者は先に、米軍主導の訓練に参加する穏健派戦闘員らの選別については、アルカイダ系や他の武装勢力とのつながりの有無に関する調査の重要性を主張。国防総省のカービー報道官は以前、穏健派の訓練には8カ月から1年かかり、その後にISIS掃討のためにシリアに戻ることになるとも指摘していた。
米国のオバマ政権は1年以上前に、訓練や武器供与でシリア反体制派の穏健派への支援を拡大する政策を発表。今春の米軍教官らの派遣開始はその政策の一環となっている。
米国はシリアの隣国イラクでもISIS掃討作戦を展開。オバマ大統領は昨年、イラク軍の作戦支援などで最大3000人の米軍兵士を派遣することを承認した。
米軍が主導する有志連合はISIS壊滅を目指す空爆をイラク、シリア両国で続けている。
米、シリア反体制派の軍事訓練を今春開始