風刺か侮辱か シャルリー紙最新号の表紙にイスラム預言者

仏紙襲撃に抗議する人々。シャルリー紙の次号の表紙については賛否両論の声があがっている

2015.01.14 Wed posted at 10:30 JST

(CNN) 仏週刊紙「シャルリー・エブド」がイスラム教の預言者ムハンマドを描いた次号の表紙を公開したことに対し、国内外の専門家やイスラム教徒の間で賛否両論が巻き起こっている。

シャルリー紙は風刺画家ら12人が犠牲となった銃撃事件後、初めて発行する最新号の表紙を12日に公開。同紙への連帯の象徴となった「私はシャルリー」の標語をムハンマドに持たせ、「すべては許される」との見出しをつけた。

ムハンマドのほおには涙が流れている。14日の発売を前に仏紙リベラシオンなどが絵柄を掲載し、これがインターネットのソーシャルメディアなどで広がった。

イスラム教ではもともと偶像崇拝が禁止され、ムハンマドの肖像を描くこと自体がタブー視されている。しかし同紙は、これまでもムハンマドを皮肉るような風刺画を繰り返し掲載してきた。

最新号の表紙について、米ホフストラ大学でイスラム思想を研究するフセイン・ラシド教授は「私の第一印象としては、事件に対するほぼ完璧な反応」と一定の評価を示した。「言論の自由を行使してムハンマドの肖像を描くという行動は譲らず、同時に融和的で謙虚なメッセージを伝えている。フランスのイスラム社会に向かっている怒りを鎮める効果がありそうだ」という。

シャルリー紙の最新号の表紙については賛否両論の声があがっている

シャルリーの最新号を担当したコラムニストは英BBCとのインタビューで、スタッフが表現したいのは同僚を殺害したテロリストへの憎悪ではないと強調。「事件後に国内で起きた運動は、許しに通じるものでなければならない」と語った。

ただ、ムハンマドの新たな肖像がイスラム教徒をさらに怒らせたり傷つけたりする事態も予想されることから、各地のイスラム教指導者は信者らに「忍耐」や「寛容」を呼び掛けている。

一方、米国のイスラム教指導者、ヤシル・カディ師は、表紙の絵柄に悪意がないのは確かだとしたうえで、同紙や欧米社会が風刺対象を選ぶ際の判断には「二重基準」が存在するように見えるとも批判した。

米デューク大学でイスラム学研究を率いるオミド・サフィ教授も、シャルリー紙が風刺する相手を間違えているとの立場を示す。教授は「風刺には本来、権力への批判という目的がある」と指摘。同紙は国家などによる暴力を取り上げていないという点に問題がある、と主張した。

最新号は多数の言語に訳され、世界各地で計300万部が発行される見通しだ。

シャルリー紙が新刊発売へ

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