米国への駆け込み図るキューバ人が急増 政策変更のうわさで

2015.01.06 Tue posted at 20:12 JST

マイアミ(CNN) 米政府が対キューバ難民政策を変更するとのうわさを受け、米国への「駆け込み」入国を図るキューバ人の数が急増している。米沿岸警備隊の当局者らがCNNに語った。

米国はキューバから脱出した難民らに対し、「ウエット・フット・ドライ・フット」と呼ばれる優遇策を取ってきた。1995年に改正された「キューバ調整法」に基づき、難民を海上で保護した場合はウエット・フット(ぬれた足)として送還するが、いったん米領内の陸地にたどり着けばドライ・フット(乾いた足)として滞在を認めるという政策だ。

オバマ米大統領は先月16日、キューバとの国交正常化に向けた交渉を始めると発表した。これと同時にキューバでは、米国が今月15日にウエット・フット・ドライ・フット政策を廃止するとのうわさが広がった。

沿岸警備隊によると、先月後半に米国行きを目指し海上で保護されたキューバ人の数は、前半と比べて235%も増加。先月1カ月の合計人数は前年同月比117%増となった。

米政府が実際に規定を変更するには議会の承認が必要となり、うわさが現実となる可能性は極めて低いとされる。

しかし、沿岸警備隊でキューバ周辺海域のパトロールを統括する司令官は「うわさが流れ続けると人々はそれを信じるようになり、あわてて海を渡ろうとするのだろう」と指摘。「これだけの人数が粗末なボートでこぎ出すのは非常に危険な状況だ」と、懸念を示す。

うわさの発信源は不明だが、人身売買やボート作りの業者が絡んでいる可能性があると、同司令官らは語る。人々の安全など関知せずにうわさを流し続ければ、業者はボートが売れてもうかるという図式だ。

59年のキューバ革命以降、米国には多くのキューバ難民が流れ込んできた。80年の「マリエル事件」ではわずか半年のうちに約12万5000人が入国したとされる。

今回の人数増加がそこまでの規模に達することはないとみられるが、沿岸警備隊はキューバとの間のフロリダ海峡への展開を増強するなどして、万が一の事態に備えている。

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