ニューヨーク(CNNMoney) 米ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)は23日、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)第1書記の暗殺を題材とするコメディー映画「ザ・インタビュー」を米各地の一部の映画館で予定通り25日から公開すると発表した。
SPEのマイケル・リントン会長兼最高経営責任者(CEO)は、公開計画を現在作成中だと述べ、映画館の具体的な数を示さなかった。すでに米国内の200以上の独立系映画館から上映の申し出があり、23日午後8時の締め切りまでにさらに増える見通しとされる。AMC、リーガルといった大手映画館チェーンは参加を表明していない。
ザ・インタビューは北米で25日に公開される予定だったが、映画館攻撃の予告を受けて大手チェーンが次々と上映を中止し、SPEが先週公開見送りを決めた。これに対してオバマ米大統領が「ソニーの判断は間違い」と語るなど、批判的な声が上がっていた。
米ホワイトハウスの報道官は23日、「大統領はソニーの決断を称賛している」「大統領が指摘した通り、ここは言論の自由と芸術表現の権利を信条とする国だ」と述べた。
映画館での安全確保について、米連邦捜査局(FBI)当局者は「ソニー側と全面的な協力態勢にある」と述べた。
サウスカロライナ州のある映画館のオーナーは、「観客に危険が及ぶという不安はない。不安を感じていたら上映はしない」と語り、同作品が注目を集めているだけに収益のメリットは大きいとの認識を示した。
SPEはインターネットのビデオ・オン・デマンド・システムで同作品を配信する道も探っているが、今のところサービス提供を表明している企業はない。
リントンCEOは「より多くの形式、より多くの映画館を通し、できるだけ多くの観客に届けるよう努力を続ける」と述べた。
監督と主演を務めるセス・ローゲン氏は「人々が声を上げた!自由が勝った!ソニーはあきらめなかった!」とツイート。共演者のジェームズ・フランコ氏も、画像共有サイトのインスタグラムで「勝利」を宣言した。
CNNと世論調査機関ORCが23日に発表した18~21日実施の調査によると、SPEが公開を見送ったことについて「正しい判断」と評価する米国人は36%にとどまり、62%が「過剰反応だ」と批判的な見方を示していた。