北朝鮮のサイバー能力を過小評価か、米映画会社の攻撃で

ソニー・ピクチャーズを攻撃したハッカー集団は映画の公開中止も要求

2014.12.18 Thu posted at 16:56 JST

(CNN) 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)第1書記の暗殺を題材にした米コメディー映画の公開に絡み制作元の米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントがハッカー攻撃を受けている問題で、朝鮮半島問題の米専門家は17日、関与が指摘される北朝鮮のサイバー能力を過小評価していた可能性があるとの見方を示した。

この専門家は米ジョージタウン大学でアジア問題研究の責任者を務めるビクター・チャ氏で、北朝鮮の加担が疑われた過去のサイバー攻撃では突き止められなかった能力を今回は見せていると説明。韓国で昨年、主要テレビ局や銀行などが狙われたサイバー攻撃に注意を促した。

同氏は、今回の攻撃は不運にも北朝鮮に大きな勝利となったと指摘。同社は映画の公開中止を強いられ、米政府には攻撃の源は北朝鮮であり、少なくとも公には攻撃に対抗する行動計画が不在であることを認めさせたとした。

その上で「北朝鮮の立場で想像すれば、彼らは平壌でシャンパンで祝っているかもしれない」と述べた。

北朝鮮が今回の攻撃を仕掛けたことが事実なら、同国によるサイバー攻撃の戦術拡大を意味するとも受け止められている。米政府は18日にも北朝鮮の関与を認める見方を示す見通し。

「ザ・インタビュー」は12月25日公開を予定していた

専門家は、米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントと韓国への過去のサイバー攻撃には共通の特徴が幾つかあるとして、北朝鮮の関与を示唆。ウイルスなどには世界のサイバー犯罪では珍しい朝鮮語が使われていたことなどに注目した。

韓国の科学省当局者によると、同国で昨年発生したサイバー攻撃に用いられたウイルスなどの多くは北朝鮮による以前の攻撃で使用されたものと類似していることが判明した。

北朝鮮の朝鮮中央通信は当時、人民軍参謀部の報道担当者の発言を引用して、関与を否定。韓国側の主張を朝鮮半島情勢を極端な局面に押しやるための根拠のない意図的な挑発と非難していた。

しかし、同通信は米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントへのハッカー攻撃についてはこれを称賛し、北朝鮮の支持者や同調者による正当な行動の可能性を示すと主張した。攻撃は致命的なものであり、同社のシステム全体が麻痺(まひ)し、業務の全般的な中断やこれに伴うであろう甚大な損失をもたらしたと伝えた。

ソニーへのサイバー攻撃 米当局が北朝鮮関与の見方

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