「偽善」「誤り」「専制の象徴」 CIAの拷問を各国が非難

CIAによる尋問の実態を調査した報告書の公表で、各国から米国に対する非難の声があがっている

2014.12.11 Thu posted at 11:41 JST

(CNN) 米中央情報局(CIA)のテロ容疑者に対する拷問の実態について調べた報告書を米上院情報委員会が公表したことを受け、各国から非難の声が相次いでいる。中国は「米国の人権擁護は偽善」と述べ、国連は米政府に対して拷問にかかわった関係者の訴追を促した。

各国の反応は以下の通り。

アフガニスタン

ガニ大統領は10日、報告書で明らかになった「非人道的な行為」を非難。カブールで記者団に対し、「不幸なことに、我々アフガンの同胞が拷問されていたことが分かった」と述べ、中には無実の人もいたと指摘した。

中国

中国外務省の洪磊報道官は同日、「中国は一貫して拷問に反対している。米国側はこれに関連した行動を正し、国際条約の条項に真摯(しんし)に従わなければならない」と語った。

国営新華社通信の論説では「米国の人権擁護は薄っぺらな偽善」だと強調し、テロ容疑者が収容されているキューバのグアンタナモ米軍基地は「2004年以来、人権侵害の悪名が高かった」と指摘。ブッシュ前大統領もオバマ大統領もこの状況に対して何もしなかったと批判した。

英国

キャメロン首相は訪問先のトルコで9日、「拷問は誤りだ。我々は世界の安全と過激派の撲滅を願っている。だが道徳的権威が失われれば成功はできない」と語った。

イラン

最高指導者ハメネイ師はツイッターに、「米政府は多くの現実を知らない国民をおとしめ、あざむいた」「米政府は人道に対する専制のシンボルになった」と書き込んだ。

フランス

外務省は「(テロとの戦いに関して)国際社会の主要目標は、人権の尊重と国際人道法の枠内にとどまらなければならない」とコメントした。

ドイツ

シュタインマイヤー外相はツイッターで、報告書に記された内容は「明らかに民主主義の価値に反する」と指摘する一方、「オバマ大統領は前任者の政策と決別した。過ちを認める姿勢を歓迎する」と評価している。

報告書について説明する上院情報特別委員会のファインスタイン委員長=Senate TV

北朝鮮

報告書に言及した朝鮮中央通信は、国連安全保障理事会に矛先を向け、「CIAによる非人道的な拷問から目を背けている」と非難した。

ポーランド

クワシニエフスキ元大統領は、米国が弱体化しているという印象が一層強まったと述べ、「特にモスクワでは何年も前から、アメリカが弱くなった西側を試せという意見が存在する。ロシア政府はこの報告書を予想外のクリスマスプレゼントと受け止めるだろう」とした。

国連

ベン・エマーソン国連対テロ・人権特別調査報告者は、「ブッシュ政権時代に政権上層部が主導した政策が、組織的な犯罪やおぞましい国際人権法違反を許した」と述べ、報告書で明るみに出た犯罪の責任者を訴追するよう米政府に促した。

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