香港デモの主要拠点、当局が11日に撤去へ

行政長官弁公室(執務庁舎)付近の道路にわずかに残ったデモ参加者のテント

2014.12.10 Wed posted at 18:13 JST

香港(CNN) 香港で行政長官選挙の民主化を求めてきた抗議デモの主要拠点を、警察が11日に強制撤去すると発表した。2カ月以上に及んだ「雨傘革命」は、ついに収拾の見通しとなった。

デモ隊は官庁街・金鐘(アドミラルティ)地区の幹線道路を占拠し、色とりどりのテントやオブジェを設置している。デモのリーダーたちは警察に抵抗しないと表明したが、運動に参加するすべての勢力が指示に従うかどうかは不透明だ。

強制撤去は、交通妨害に堪えかねた地元バス会社の申し立てを受け、裁判所が命じた。警察は執行官とともに対象地区の障害物を取り除き、さらにほかの場所でも交通を再開させる構え。九龍半島側の繁華街、旺角(モンコック)でもデモ隊が道路を占拠していたが、こちらは先月排除された。

学生らを中心とした民主派デモ隊は、次期行政長官選挙で中国政府が公認の候補者にしか立候補を認めない方針を決めたことに抗議してきた。9月末に警察が催涙ガスなどで強制排除を図ったことをきっかけに市民からの支持が強まり、国際社会は中国政府の対応に注目していた。しかし政府はデモ隊の要求をはねつけ、香港当局に対応を任せている。

道路の占拠が始まって2カ月が過ぎても政府側が譲歩する兆しはなく、デモは世論調査でも支持を失い始めた。

金鐘地区の幹線道路を占拠する色とりどりのテント=11月17日

デモの中心団体のひとつ、「学連」を率いる周永康(アレックス・チョウ)さんは「撤去対象区域の外側で座り込みを続ける。市民的不服従の精神にのっとって平和的な態度を貫き、行動に対する法的責任も受け止める」と述べた。そのうえで、この座り込みが「今回の占拠運動の終幕」になるとの見通しを示した。

もうひとつの学生団体「学民思潮」のリーダー、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)さんも、デモ参加者らに平静を呼び掛けた。

現場で片付け作業に取り掛かっていた女性(22)は、デモ隊と警察の衝突を目撃した夜のことを振り、「あの光景はもう見たくない。抵抗してもむだだ」と話した。警察が来るまでに退去するつもりだという。

一方、テントをたたんでいた男性(24)は、警察が来てもその場にとどまると宣言。「私を逮捕するというのならされるまでだ」と強気の構えを示した。男性はさらに、「拠点が撤去されても人々の魂は変わらない。香港の住民はこれまで政治にあまり関心を持っていなかったが、今は違う。この出来事を次の世代に伝えていく」と力を込めた。

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