（ＣＮＮ） 米ミズーリ州ファーガソンで黒人少年が射殺された事件を巡り抗議デモが吹き荒れた米国で、白人警官が黒人少年を抱き締める姿を写した１枚の写真が人々の心をとらえている。
ミズーリ州で少年を射殺した白人警官の不起訴を巡って抗議デモが全米に広がった２５日。１２歳のデバンテ・ハートさんは、オレゴン州ポートランドで「ハグ無料」と書いた看板を持ち、涙を流しながらデモに参加した。
デモ対応に当たっていたポートランド警察の警察官ブレット・バーナムさんは、ハートさんの涙を見て「警官としてではなく人間として」近付き、涙の理由を尋ねたという。
ハートさんは最初は戸惑った様子だったが、バーナムさんは日々の生活や夏休みのことを話して打ち解け、自分もハグしてほしいと頼んだ。ハートさんは黒人の子どもに対する警官の対応の荒さに不安を感じていたという。
バーナムさんはハートさんの涙を見て「警官としてではなく人間として」近付いたという
ＣＮＮの取材に対しバーナムさんは、「街で市民と接触している警察官が日々やっているのはこういうこと」と強調し、反響の大きさに驚いているとしながらも、「私たち全員が、善意をつくり出すためにこの仕事をやっていることを分かってもらえれば」と語った。
写真家のジョニー・グエンさんが撮影した２人のハグの光景は地元紙の電子版に掲載され、交流サイト「フェイスブック」で１５万回以上も共有された。
グエンさんには、写真を見て希望がわいたというメールや、人間性への信頼を取り戻せたというメールが殺到したといい、「暴力や衝突の中で、誰もが希望を見出したいと思っている証し」とグエンさんは話している。
黒人少年と抱き合う白人警官、全米の心打った１枚の写真