メキシコ検察トップが「うんざり」発言、民衆反発 学生殺害疑惑

メキシコ全土で政府への抗議運動が展開されている

2014.11.12 Wed posted at 14:59 JST

(CNN) メキシコで学生43人が警察から犯罪組織に引き渡されて殺害されたとされる事件を巡り、全土に抗議デモや暴動が広がっている。

「もういい、うんざりだ」。7日の記者会見で事件について説明した同国のムリジョ連邦検察庁長官は、その一言で記者団の質問を遮り、会見を打ち切った。この発言をきっかけに、国民の怒りに一層火が付いた。

当局によると、行方不明になっていた学生43人は、市長の命令で警察に拉致され、犯罪組織に引き渡されて殺害された後、遺体が燃やされて川に投げ捨てられたとみられる。

メキシコ市では7日、「もういい、うんざりだ」と書いた横断幕を掲げて市民らがデモ行進した。8日にはデモ隊が国立宮殿の壁に落書きし、扉に火を放って押し入ろうとした。

アカプルコの空港では10日にデモ隊と警官隊が衝突。空港は数時間にわたって封鎖され、便の欠航が相次いだ。

43人の学生が行方不明に

ツイッターやユーチューブにも、「犯罪組織と結託する政府に私もうんざりだ」「不正にはもううんざりした」などの投稿が殺到している。

政府の対応や警察などの関与を巡り、ペニャニエト大統領にも怒りの矛先が向けられている。大統領は、今回の事件に対して憤りを表明する一方で、デモ隊による暴動も非難した。

学生の家族はペニャニエト政権の対応を強く批判。大統領と面会した家族の1人が、事件を解決できないなら辞任すべきだと大統領に迫り、その様子を携帯カメラで撮影したビデオがユーチューブに投稿された。

ムリジョ長官は10日、CNN系列局テレビサのインタビューで、記者会見での発言について「もううんざりだと言ったのは、残忍な暴力にうんざりしているからだ」と弁明した。

学生の写真を掲げて抗議する人びと

さらに「私も同じ人間だから疲れを感じる。この30日というもの、1日4時間しか寝ていない」と訴えた。

家族に対しては、川に遺棄されたのは行方不明になっている学生の遺体だと思われるが、まだDNA鑑定はできていないと説明したことを明らかにして、「すぐに答えが出せないことに無力感を感じる」と話している。

メキシコ全土で抗議デモ 学生殺害疑惑

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