ISISに拉致された女性、数千人が暴行や強姦の被害に

2014.10.31 Fri posted at 12:37 JST

イラク・アルビル(CNN) 19歳のジャナさんは高校の卒業を控え、将来は医師になるのが夢だった。昨年8月、イスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国」(ISIS)に村が占拠され、その夢は崩れた。

イラクのクルド人自治区でCNNの取材に応じたジャナさんは、ISISに占拠された少数宗派ヤジディの村に住んでいた。ISISは住民にイスラム教への改宗を迫り、村中の宝飾品や現金、携帯電話を略奪し、男性と女性を引き離したという。

国連の報告書によると、ISISは10歳以上の男性全員を学校に集めてトラックで村の外に連れ出し、射殺した。犠牲者の中にはジャナさんの父と兄もいた。

ジャナさんたち若い女性はバスでモスルに連れて行かれ、大きな3階建ての家に収容された。そこには数百人の女性がいて、ISISの男たちが定期的にやって来ては3~4人の女性を選んで連れ出したという。

英ブリストル大学の研究者でクルド自治政府顧問のナザンド・バギハニ氏によると、女性たちは「家畜のように扱われ」、身体的、性的暴行を受けたり組織的に強姦されたりした。モスルやラッカでは値札を付けて市場で売られた。

バギハニ氏のチームが行った現地調査によれば、ISISに拉致されたヤジディの女性は2500人を超す。ヤジディの活動家は、行方が分からなくなった女性は少なくとも4601人に上ると話している。

女性が集団で連れ去られてからの1カ月で、被害者からこの活動家にかかってきた電話は1日70件にも上った。しかし今は1人も連絡が取れないという。

クルド当局はこれまでにヤジディの女性約100人を救出した。仲介役のアラブの部族に身代金を払ったケースもあるという。バギハニ氏は、救出された全員が複数の男に強姦されていたようだと話す。

今も拘束されたままの数千人を救出できる見通しは立っていない。

取材に応じたジャナさんは深い心的外傷を負い、喜びなどの感情は表現できなくなった。母親と2人の兄弟はまだISISに拘束されている。

自宅を奪い、銃を突きつけてイスラム教への改宗を迫った70歳の男にもし会ったら言いたいことはと尋ねると、「言いたいことは何もない。ただ殺したい」とつぶやいた。

医者になる夢はもうあきらめたという。

ISISに拉致された女性、数千人が暴行や強姦の被害に

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