(CNN) 国連で北朝鮮の人権問題を担当するダルスマン特別報告者は28日、北朝鮮の代表団と初めて会談した。
国連の人権特別報告者と北朝鮮側の会談はこの10年間、実現していなかった。ダルスマン氏によると、会談は前触れなしに行われ、約1時間続いた。
北朝鮮当局者らはこの中で、人権問題に関する調査団を受け入れる可能性を示唆した。一方で、国連に提出されている対北朝鮮決議案への懸念を表明したという。
決議案は北朝鮮による人権侵害を国際刑事裁判所(ICC)で裁くべきだとする内容で、欧州連合(EU)と日本が共同でまとめた。ダルスマン氏も28日、国連総会への報告で、人権問題をICCに付託し、制裁強化を検討すべきだと主張した。
北朝鮮は最近、当局者らが記者団の質問に答えたり公の場で発言したりする姿勢を示すなど、国際社会への態度を軟化させている。
日本との間では、北朝鮮による日本人拉致問題を巡って協議を続行中だ。日本は今年、北朝鮮が拉致問題を再調査するとの約束と引き換えに制裁を一部解除した。しかし調査の結果報告はまだ出ていない。
韓国とは30日に高官協議を開く予定だったが、これは中止になったようだ。北朝鮮側から、韓国が関係改善への環境づくりに努めていないと非難する文書が届き、韓国統一省は「現時点での協議開催は難しい」と表明した。
北朝鮮はまた、核問題を巡って米国を含む6者協議の再開に応じる構えを見せている。当局が拘束している米国人3人のうち、1人を最近解放した。EUに対しても、人権問題に関する協議を提案している。
しかしダルスマン氏は、北朝鮮が国際社会に協力的な態度を示していることを歓迎するとしたうえで、「その前提として問題の重大さを根本的に認識すること、あくまで責任者を追及することが必要だ」と強調した。
ただ、決議案を国連安全保障理事会の採決にかける段階では、中国が拒否権を行使することが確実視されている。