(CNN) スウェーデンの首都ストックホルム近海で不審な船が出現したとの情報で軍が捜索を行う中、同海域で観光用として使用されている小型潜水艦に注目が集まっている。
潜水艦でのツアーを実施しているのはラッセ・シュミット氏。同氏は海軍が射撃訓練の的として利用していた小型潜水艦を譲り受け、ストックホルム周辺の島々が浮かぶ海を遊覧するツアーを催行している。今回の騒動後、この艦が不審船の正体ではないかとの疑念の声が人びとの間に上がっている。
シュミット氏によると、騒動後は電話が鳴りやまない状態だという。予約の電話もある一方で、「軍の出動の原因が我々にあるとして費用を払えと要求してくる」など苦情の電話が大半だという。
軍からは21日に電話で「安全保障上の理由からツアーをやめるように」と連絡があり、シュミット氏は「何かあったのだ」と感じたという。同氏は観光自体は継続しているものの、海軍にルートを連絡するとともに、捜索海域からは一定の距離を置くように注意を払っているという。
不審船の正体は明らかになっていない。地元メディアによれば、スウェーデン軍が無線の救難信号を探知。信号はストックホルムからバルト海をはさんで約530キロ南部の対岸にあるロシア領のカリニングラードに向けて発信されていたという。
スウェーデン政府は不審船の正体について明言を避けているが、地元メディアは捜索対象が潜水艦で、ロシア艦の可能性もあると報じている。
ロシア政府は、同国の潜水艦などがスウェーデンの領海を航行した事実はないと否定。もし外国船がいたとすれば、付近に停泊しているオランダ船の可能性が高いとの見方を示した。これに対してオランダは同海域にオランダ軍の船はなかったと反論した。
専門家によれば同海域での潜水艦の発見や確認は困難だ。北大西洋条約機構(NATO)の前欧州連合軍最高司令官ジェームズ・スタブリディス氏は、島々に囲まれた岩の多い海底では音波による探知が難しく、海上や上空から水面下の物体を特定する能力が制限されるという。
スウェーデン軍、不審船を捜索