シャイなヒーロー、火災現場で人命救助も名乗り出ず 米

CNNの取材に答えるトム・アーティアガさん

2014.10.23 Thu posted at 12:02 JST

カリフォルニア州フレスノ(CNN) 米カリフォルニア州フレスノで、火災現場を通りかかった男性が中に飛び込んで高齢者を救出する出来事があった。男性は自ら名乗り出ることなく立ち去り、マスコミは「ヒーロー」探しに躍起になったがこのほど、男性の身元が判明した。

救助の一部始終は目撃者が携帯電話のカメラで撮影していた。激しい炎が噴き出す住宅、「まだ中に人がいる」「お父さんを助けて」と叫ぶ女性の声。爆発音が聞こえ、助けに入ろうとした男性2人は近付けない。

そこへ野球帽をかぶった男性が、高齢の男性を肩にかついで飛び出して来た。

救出されたロバート・ウェルスさん(73)は鼻にチューブを着けており、肺の疾患のため出火当時も酸素吸入を受けていたことが後に分かった。周りにいた人たちが駆け寄り、間もなく消防隊も到着した。

しかし野球帽の男性は、いつの間にか姿を消していた。

消防署や地元メディアはそれから2日間、この男性を探し続け、ニュースでも繰り返し男性の映像が流れた。

探し当てたきっかけは、男性の親類がフェイスブックに投稿した情報だった。マスコミがこれに飛び付き、トム・アーティアガさん(49)にたどり着いた。

炎の中に飛び込んだ時と同じ野球帽姿のアーティアガさんは、始終控えめな様子で取材に応じ、「注目されたくなかった」と話した。

あの日はたまたま車で通りかかって火災を目撃し、男性の叫び声を聞いてトラックから降りた。普段から近所の高齢者の庭の手入れなどを手伝っているアーティアガさんは、自分の家族のことも考えず、燃え盛る民家に飛び込んだという。

「そこへ爆発が起きた。身をかがめると、庭にお年寄りの姿が見えた」。アーティアガさんは歩けないウェルスさんを肩にかつぎ、無事救出した。

しかしウェルスさんを肩から降ろしたところで、携帯電話で撮影されているのに気付き、その場から立ち去ったという。

ニュースで自分の映像や写真が出回っているのは目にしたが、妻には何も話しておらず、知られたくないと思っていたというアーティアガさん。今回の出来事がいずれ忘れ去られて、何事もなく酒造会社の配送の仕事を続けたいと願っていたという。

その理由を尋ねると、アーティアガさんは言った。「私たちは助け合わなければいけないのに、殺し合ったり、争ったりする。自分をヒーローだとは思わない。誰かほかの人だったとしても、同じように助けていた」

シャイなヒーローの身元が判明

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