(CNN) 最高指導者の金正恩(キムジョンウン)第1書記が公の場から姿を消した北朝鮮で、正恩氏の妹の金与正(キムヨジョン)氏が闘病中の兄に代わって代行の地位に就いたのではないかとみる説が浮上した。
正恩氏は1カ月以上、公の場に姿を見せておらず、痛風説、糖尿病説、関節障害説などが飛び交っている。脱北者でつくるシンクタンクは、闘病中の正恩氏に代わって与正氏が代行の地位に就いた可能性があると指摘した。情報の出所は明らかにしていない。
北朝鮮情勢に詳しい専門家によると、北朝鮮のメディアは与正氏を朝鮮労働党の「副部長」と呼んでおり、今年に入って党の会合などで頭角を現してきた。
米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」のアナリスト、ビクター・チャ氏は「同氏が一時的に何らかの地位に立った可能性はある。北朝鮮の体制は、たとえ名ばかりだったとしても、金一族なしで維持するのは難しい。金正恩氏の体調が優れないのなら、金一族の直系でこの地位に立てる人物は与正氏しかいない」と指摘する。
与正氏は1987年か88年生まれで、正恩氏とともにスイスの私立学校に通っていた。故・金正日(キムジョンイル)氏が4人の女性との間にもうけた7人の子どもの末娘で、正恩氏と同じ母から生まれた。
父に気に入られてスイスから帰国後は政府の要職を与えられ、正恩氏の体制下でも首席補佐官的な役割を果たしていたという。
北朝鮮のナンバー2とナンバー3の韓国訪問も、与正氏の関与が大きかったと北朝鮮情勢に詳しいマイケル・マッデン氏はみる。
10月10日には朝鮮労働党創立69年を祝う式典が開かれる予定で、この場に正恩氏が出席するかどうかに大きな注目が集まっている。
金正恩氏の妹が代行か