快進撃の中国スマホメーカー「シャオミー」 目指す先は

小米科技(シャオミー)が急成長を見せている

2014.11.30 Sun posted at 17:32 JST

香港(CNNMoney) 中国の新興スマートフォン(スマホ)メーカー、「小米科技(シャオミー)」の快進撃が止まらない。同社の戦略の特徴は、各地でイベントを開催し、ユーザーと直接交流する機会を増やすことで、熱心な「ファン」を開拓していくところにある。

香港でもこのほど、そんなファン交流会が開催され、話題を集めた。参加したファンの中には、テレビやスマホが抽選で当たる人もおり、イベント会場は熱気に包まれていた。

同社副社長のヒューゴ・バラ氏は、米検索大手グーグルのスマートフォン向けOS(基本ソフト)「アンドロイド」部門で副社長を務めていたが、昨年シャオミーに引き抜かれた。

同氏はファンとの交流イベントについて、カナダの人気歌手を引き合いに出し、「会場はジャスティン・ビーバーのコンサートのような雰囲気だ」と形容する。香港でのイベントでは、自ら中国式の歌や踊りを披露して喝采を浴びた。

こうしたイベントによるファン開拓は、着実に成果を上げているようだ。

CNNのインタビューに答えるヒューゴ・バラ副社長

中国における2014年4~6月期のメーカー別スマホ出荷台数で、シャオミーは米アップルや韓国サムソン電子を抜き、1位となった。

同社の中国市場におけるシェアは14%に達している。「中国のスティーブ・ジョブズ」こと雷軍(レイチュン)氏によって創業されたのがわずか4年前であることを考えると、驚異的な急成長だ。バラ氏自身も、ここまでの成長速度は想像していなかったという。

熱狂的な人気の背景には、低価格のスマホと巧みなマーケティング戦略がある。

シャオミー製端末の値段はおおむね、約130ドル程度に抑えられている。これはほぼ製造原価に近い水準の低価格であり、シャオミーの利益はハードウエア本体以外のソフトの部分で生み出されている。

バラ氏はこうした戦略について、「弊社はスマートフォンの売り手である以前に、インターネット・プラットホームを提供する企業だと言える。携帯端末はあくまで、ソフトウエアを提供するための媒体という位置づけだ」と語る。

イベントを通じてファンを開拓するのがシャオミーの戦略だ=同社提供

シャオミーがバラ氏をグーグルから引き抜いたのには、世界展開のための布石という意味合いもあった。海外進出先として視野に入っているのは、インドネシア、メキシコ、タイ、トルコといった国々だ。バラ氏は現在、インドでの事業立ち上げに携わっており、その先にはブラジル進出も見すえている。

香港でのファンの1人はCNNの取材に対し、「シャオミーは夢を売っている」と語った。シャオミーの世界進出が成功するか否かは、中国国外でこのような熱狂的なファンを開拓できるかどうかにかかっていると言えるだろう。

ただ、シャオミーの急成長の影には批判もつきまとう。特に、米アップル社の製品やマーケティング戦略を模倣しているだけではないかという批判の声が絶えない。

バラ氏はこうした「アップルの物まね」批判に対し、「実はシャオミーが世界中で他社に使われているアイデアの原動力になってきたことをわかっていない」と反論する。

なお、同氏によると、米国進出の可能性は今のところないようだ。

「カルト的人気」の端末メーカー、シャオミー

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