香港デモ、警察とのにらみ合い続く 負傷者56人、逮捕者89人

携帯電話をかざすデモ参加者=29日

2014.09.30 Tue posted at 11:55 JST

香港(CNN) 香港の民主化要求デモは、30日未明になっても数千人の参加者が金融街に続く大通りなどで座り込みを続けた。警官隊との衝突による負傷者は少なくとも56人、逮捕者は89人に上っている。

当局は29日、現場から機動隊を引き揚げ、デモ隊に解散して道路を空けるよう呼び掛けた。一方デモ隊は、警察が前夜に続いて再び催涙ガスや催涙スプレーを使用する事態に備え、ゴーグルや手製のマスク、レインコートなどを用意してその場にとどまっている。

CNN取材班によると、デモ隊と警察は互いに平静を呼び掛け、現場は小康状態を保っている。デモ隊の規模は30日朝、前日に比べてわずかながら縮小した。参加者らは自主的にごみを拾い、飲料水を配ったり警官らの説得を試みたりするなど、ほぼ平和的に行動している。

ただ、デモ隊が梁振英行政長官の退陣を求めて一歩も引かず、警察がこれを「違法な集会」と非難する構図には変わりがないため、今後の成り行きは不透明だ。当局によれば、負傷者の中には少なくとも12人の警官が含まれている。

香港では金融街の道路が占拠され、学校が休校になるなど大きな影響が出ている。当局は10月1日に予定されていた中国国慶節(建国記念日)の花火大会を中止すると発表した。

香港中心部を占拠した学生たち=23日

警察は30日までに、政府施設への不法侵入、公共の場で秩序を乱した行為、警官に対する暴行や職務執行妨害などの容疑で89人を逮捕したと発表した。

香港の行政長官選挙で中国政府が公認の候補者しか立候補を認めない方針を示したことが発端となり、学生らが先週から授業のボイコット運動を展開。もともと今週の抗議行動を計画していた市民団体がこれに加わり、デモ隊が膨れ上がった。

香港で大規模なデモが実施されることは珍しくないが、警官が出動して大規模な鎮圧を図ったことで衝撃が広がり、さらに数千人がデモ隊に加わったとみられる。デモは香港の中心街や、香港島からビクトリア湾を渡った九龍半島側にも飛び火した。

ソーシャルメディアでは、デモ参加者らが催涙ガスを避けようと広げた傘からの連想で、この運動を「雨傘革命」と呼ぶ動きが出てきた。一部の専門家からは「第2の天安門事件」を懸念する声も上がっている。

中国当局は香港情勢を巡る情報の流れを制限しているとみられ、国営メディアはこのニュースをほとんど伝えていない。インターネットの写真共有サービス、インスタグラムは、デモの写真が流れてからアクセスが阻止されている模様だ。

香港デモ、人々は何を求めているのか

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