がれきの中の生存者発見へ、NASAが新装置開発

FINDERを試験する様子=NASA/JPL-CALTECH提供

2014.09.23 Tue posted at 16:45 JST

(CNN) 米航空宇宙局(NASA)の研究者が、災害現場などでがれきの下敷きになった生存者の心臓の鼓動を検知できる装置「FINDER」を開発した。生存者の早期発見につながると期待されている。

FINDERは、低出力の電波信号を使って人の動きを検知する。最大で深さ約12メートルのがれきに埋まった生存者の発見が可能。たとえ意識を失っていても、心臓が鼓動する時のかすかな体の動きを検知できるという。

同装置が探すのは人の心臓の鼓動と一致する信号のみ。風に揺れる木の枝や、ネズミのように心拍が速い動物などの動きには反応せず、人の生命の兆候だけをピンポイントで特定できる。

使い方は5分程度で習得でき、使用準備はわずか数分で整う。本体に搭載したパソコン上で「捜索」ボタンを押すと、30秒後には半径30メートル以内で見つかった心臓の鼓動数が表示される。小型のケースに収めて飛行機で運ぶことも可能だ。

がれきの下敷きになった生存者を救出できる時間は限られており、FINDERを使えば捜索作業の効率化が期待できる。

米国土安全保障省は2010年にハイチを襲った大地震の後、こうした災害現場で活用できる技術の開発を目指していた。そこで白羽の矢が立ったのがNASAジェット推進研究所のジェームズ・ラックス氏。同氏はかつて米軍のために、戦場で倒れた兵士の生死を判別する装置の開発を手がけた。

2005年の大型ハリケーン「カトリーナ」では多大な被害が出た

米国では地震が起きたとしてもハイチほど壊滅的なインフラ被害は想定されていない。しかしオクラホマ州やミズーリ州では竜巻で大きな被害が出ているほか、雪崩やハリケーンなどの被災現場でもFINDERの活躍が期待できる。

「広範囲ががれきと化し、生存者が生き埋めになっている場所をうまく捜索できる手段は存在しなかった」「そうした現場にこの装置があれば役に立つ」とラックス氏は言う。

FINDERはまだ試作機が数台あるのみで、実際の現場で使われたことはない。米連邦緊急事態管理庁(FEMA)の作業部会はバージニア州の実験場に自然災害の現場を再現し、テストを進めている。

ただ、実用化のためには民間企業がライセンスを取得して製造・販売に乗り出す必要がある。「誰かが製造してくれることを待ち望んでいる。強要はできないから」とラックス氏。同氏の予想では販売価格は1万ドル(約100万円)程度。あと1~2年で実用化が見込めるという。

同氏はその間に一層の小型化を進め、FINDERを無人機やヘリコプターにも積める大きさにしたい考えだ。

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