スポーツ賭博VS株式投資、その似て非なるもの

2014.11.23 Sun posted at 17:52 JST

ニューヨーク(CNNMoney) スポーツ賭博を行うギャンブラーと、株式市場で勝負する投資家。未来を予測できるという自信、感情に流されての失敗、負けず嫌いの気質など、共通点は多々あるようだが、その実、スポーツ賭博と株式投資は似て非なるものだ。

まず、リスクという点でみると、スポーツ賭博の方がより危険といえそうだ。長い目で見れば、ダウンサイドリスクが少ないため、投資家の方がより多くのチャンスがある。別の言い方をすると、株式市場の方が、スポーツ賭博のブックメーカー(賭け屋)よりもはるかに寛容だと言える。

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の金融情報部門「キャピタルIQ」のチーフ投資ストラテジストであるサム・ストーバル氏は「投資がギャンブルだと思っている人は多いが、私はいつも違うと言っている」と述べ、米国の代表的な株価指数であるS&P500種指数を引き合いに出した。

ストーバル氏の調査によると、S&P500種指数は1926年以来、実に73%の期間において上昇を見せてきた。

一方、スポーツ賭博の場合、73%もの安定した勝率を実現するのは難しい。

それにもかかわらず、米国でスポーツ賭博が人気なのは、賭けの対象として魅力があるからだろう。

米国人は、年間3800億ドル(約41兆円)をスポーツ賭博につぎ込んでいるとされる。ひいきのチームやスター選手に賭けたくなるのは、気持ちとしてはよくわかる。

例えば、アメリカンフットボールのスター、ペイトン・マニング選手を目当てに賭ければ、確実な利益を見込めそうだ。特に株式市場の中から「勝者」を探すことを考えれば。

だが、マニング選手ですら、調子が悪い試合はある。

株式投資とスポーツ賭博、両方の経験があるニュージャージー州在住の匿名の男性はやはり、スポーツ賭博の方が難しく、リスクも高いという。

「安定した大企業の株価が急落して、全財産を失う羽目になる可能性は少ない。だが、スポーツの場合、ペイトン・マニングですら、ハンデ分(スプレッド)を跳ね返せないことがままある」話す。

特に、スポーツ賭博は、勝つか負けるかのゼロサム・ゲームになりやすい。あるチームに賭けたとして、そのチームが試合に負けたり、ハンデ分を跳ね返せずに終わったりすれば、賭け金をすべて失うことになる。

これが株式市場であれば、米アップルのような大企業に投資しておけば、短期間で初期投資全額を失うリスクは少ない。多数の株式に分散投資することもできる。

また、株価が一定額以下になった場合、自動的にその株式を売るようストップロス注文を出しておくなど、リスクを最小限に抑える方法もある。

スポーツ賭博と株式投資では、時間の感覚も異なる。株式は理論上、永久に持っていることができるが、スポーツ賭博は一瞬にして終わってしまう。

2007年10月、株式相場がピークを迎えていた時に高値づかみする羽目になった不運な投資家ですら、そのまま長期保有していれば、2013年、株価が景気後退以前の水準に戻った際、なんとか損失を取り戻すことができた。

一方、米プロフットボールリーグ(NFL)の王者決定戦「スーパーボウル」で、賭けたチームが負けてしまった場合、こうはいかない。キャピタルIQのストーバル氏は、「外れ券を一生、持ち続けていることも可能だが、だからといって一銭も入ってこない」と話し、スポーツ賭博の難しさを強調した。

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