(CNN) 15世紀のイングランド王、リチャード3世の遺骨から、戦場での壮絶な最期の様子が浮かび上がった。英レスター大学の研究者らがけがの跡を分析し、英医学誌ランセットに成果を発表した。
リチャード3世は1485年、王位に就いてからわずか2年後に32歳で戦死した。遺骨はイングランド中部レスターに近い修道院に埋められたと伝えられていたが、2012年、駐車場となっていた修道院跡で見つかった。
研究チームによると、遺骨には死の前後に負ったとみられるけがの跡が11カ所も残っていた。論文をまとめたサラ・ハインズワース教授は「当時の武器で長時間にわたり、あるいは複数の敵の手で傷つけられたことが分かる」と話す。
分析には全身のCT(コンピューター断層撮影)が使われ、骨の損傷部分はさらにマイクロCTで詳しく調べた。
11カ所のうち9カ所は頭部のけがだった。頭がい骨の下面に2つ、致命傷になったとみられる損傷があった。1つは剣や矛のような武器による大きな切り傷、もう1つはとがった武器による刺し傷の跡だったという。
頭部のけがからはかぶとを脱いでいたことがうかがえる一方、腕や手に抵抗した際の傷がないことから、よろいは着けていたとみられる。
頭部のほか骨盤にも大きな損傷が残っていたが、当時のよろいは腰の部分も防護していたはずだ。リチャード3世の遺体は馬の背からつり下げた状態で戦場からレスターへ運ばれたとの説があることから、この時に受けた損傷ではないかと、同教授は指摘する。
ただ、どの傷も重なり合ってはいないため、正確な順番は確認できなかったという。
遺骨は来春、発掘場所から近いレスター大聖堂に再び埋葬されることになっている。