次のシリコンバレーはアイオワ州に? IT企業が熱視線の理由は

アイオワ州にIT各社がデータセンターの建設を進めているという

2014.11.02 Sun posted at 17:35 JST

(CNN) 米中西部アイオワ州の草原に、ハイテク企業の巨大データセンターが続々と建設されている。内部に格納されているのはサーバーなどウェブサービスの保守・運用を担う設備だ。

大手では既にマイクロソフトが4月、同州デモイン周辺に11億ドルを投じてデータセンターを建設する計画を発表しており、交流サイト(SNS)大手のフェイスブックも来年初めから、同州アルトゥーナで新たにデータセンターを稼働させる予定だ。さらに、検索大手のグーグルも、同州カウンシルブラフスに施設を所有している。

アイオワ経済開発局長のデビ・ダラム氏は、「データセンターについては、本当に良い提案ができた。マイクロソフトやグーグル、フェイスブックが来てくれれば、人々の注目も集まる」と胸を張る。

しかし、なぜアイオワ州なのか。

この背景には、安価で豊富な再生可能エネルギーがある。同州では電力価格が全米平均よりも20%近く安くなっているほか、風力発電の比重も大きい。

IT企業がアイオワ州に熱い視線を送っている、その理由は

ハイテク企業のデータセンターは大量の電力を消費するため、電力価格は重要なポイントだ。

米ビラノバ大学の研究者によると、米国内の電力使用量のうち、2%あまりをデータセンターが占めるという。また、世界のクラウド企業を1つの国と見なした場合、世界5位の電力消費量になるともいわれている。

グーグルは4月、アイオワ州のデータセンターで利用する全電力を風力発電でまかなうことで、ミッドアメリカン・エネルギーと合意した。

さらに、電力確保には好都合なことに、アイオワ州では輪番停電の恐れはなさそうだ。竜巻はときどき発生するものの、地震やハリケーンに直撃されて、データセンターごと吹き飛ばされる危険は少ない。

また、いわゆる「グーグル効果」もある。アイオワ州では、データセンターを建設する予定の企業に対し税制優遇措置などを施しているが、これは2007年、グーグルがアイオワ州を建設予定地とする計画を発表した折、同社からの提案を受けて法律化されたものだ。

風力発電など再生可能エネルギーが豊富なこともアイオワ州の強みだという

ただ、アイオワ州はこの際、グーグルだけに特別に税制優遇措置を適用するのではなく、データセンター一般で使われる電力やコンピューターに関して、税金を還付するという法案を可決した。また、データセンター内のIT設備には固定資産税がかからないという措置もある。

グーグルの広報担当者は、同社がカウンシルブラフスをデータセンターの建設予定地に選んだ理由について、「エネルギーインフラや開発可能な土地、労働力がそろっていたため」としている。

ただ、データセンターが直接に雇用を生み出すわけではない。グーグルのデータセンターの場合は200人、マイクロソフトやフェイスブックはわずか数十人しか雇っていない。さらに小規模のデータセンターとなると、従業員数はひと桁だ。

とはいえ、データセンターがもたらす恩恵が雇用だけに限らないと見るのは、経済開発グループ「グレーター・デモイン・パートナーシップ」のデービッド・マーズ氏だ。州内への新規投資の流入が見込めるほか、建設業などで雇用が増えるという間接的な効果もあるという。

もともと、データセンターを建設する企業に対して与えられる税制優遇措置は、州内の製造業振興のために導入されたものだ。同氏は、「データセンターは21世紀の製造業のようなものだととらえている」と話す。

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