エボラ対策の支援強化へ、兵士増派 米国

オバマ米大統領。エボラ出血熱の抑制に向けた総合的な対策を明らかにした

2014.09.17 Wed posted at 12:16 JST

(CNN) オバマ米大統領は16日、西アフリカのエボラ出血熱流行を食い止めるため、米軍の派遣を含む大幅な支援強化に乗り出すと発表した。

支援策には現地に派遣する米軍要員の3000人増員のほか、病院建設資材や医療物資などの提供、医療従事者の増員などを盛り込んだ。

米アフリカ陸軍のダリル・ウィリアムズ司令官は16日にリベリアに到着した。病院の増設や支援物資の供給、医療従事者の増員に向けた後方支援活動を指揮する。

また、米国は医療従事者の研修施設を開設し、専門家が週に最大で500人の医療従事者を対象に、患者の見分け方や看護の方法について講習を行う。

国際開発庁(USAID)は家族を看護する市民向けに、消毒剤や手袋などが入った救急セット40万点を提供する。

米軍要員の3000人を増員するなどの支援策を盛り込んだ

リベリアの首都モンロビアでは、エボラ感染の不安に駆られた住民たちが一家でタクシーに乗り、助けを求めて市内を行き来している。しかしそうした住民を受け入れる余裕のある施設は1つもないのが現状だ。

ギニア、リベリア、シエラレオネの医療施設も患者があふれている状態だという。

今回の流行によるこれまでの死者は少なくとも2400人、感染者は数千人に上る。今も患者は激増し続け、感染はナイジェリアとセネガルにも広がった。世界保健機関(WHO)はこの事態を「差し迫った緊急事態」「人類にとって前例のない次元の苦難」と表現する。

現地で治療に当たっている専門家などは、国際社会の対応の遅さに苛立ちの声を強めていた。

米アトランタで疾病対策センター(CDC)職員からそうした現状について説明を受けたオバマ大統領は、「今は男性も女性も子どもも、ただ座って死を待っている」と指摘し、「だが希望はある」「適切な措置を講じれば命を助けられる。しかし早急な行動が必要だ」と訴えた。

エボラウイルス=CDC提供

オバマ大統領はまた、議会に対してエボラ対応のための追加拠出を承認するよう要請。この日開かれた米上下両院の合同公聴会では、リベリアでエボラに感染し、米国で治療を受けて完治したケント・ブラントリー医師が証言に立って「直ちに行動を」と呼びかけた。

この中でブラントリー医師が紹介した「フランシス」という男性患者は、エボラを発症した近所の人を病院に運ぶためにタクシーに乗せる手伝いをして自身も感染し、死亡したという。

「もし誰かがそばにいて、ちょっとした助言と必要な装備を提供できていたら、家族は父親を失わずに済んだ」とブラントリー医師。世界がもっと早く対応していれば、この患者を救うことができたかもしれないと振り返る。

国連安全保障理事会は、エボラ対応を加速させるために緊急会合を開く。

WHOは16日、中国がエボラウイルスの検査を支援するため、シエラレオネに疫学者など59人で構成する専門家チームを派遣すると発表した。同チームは先に現地入りした中国の医療従事者115人に合流する。

オバマ大統領、エボラ対策の概要を発表

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。