NATO首脳会議、中東やウクライナの対応協議

NATOのラスムセン事務総長

2014.09.05 Fri posted at 10:46 JST

英ウェールズ・ニューポート(CNN) 北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が4日、英ウェールズで開幕し、アフガニスタン、中東、ウクライナ情勢への対応について協議した。

シリアとイラクで勢力を広げる過激派組織「イスラム国」を巡ってNATOのラスムセン事務総長は、イラク政府から支援の要請があれば「真剣に検討する」と述べ、現時点ではイラクからの要請は受けていないと説明した。

米国はイラク政府と連携してイスラム国に対する空爆を行っており、シリア空爆の可能性も排除していない。キャメロン英首相は米国の空爆を支持すると表明し、英国も今後の作戦に加わる可能性があると語った。

一方、ウクライナでは政府軍と親ロシア派の武装勢力との戦闘が続く。ロシアはウクライナの親ロ派との直接的な関係を否定しているが、欧米諸国はロシアの部隊が国境を越えてウクライナに侵入したとの見方を示し、ロシアに対して部隊を撤収させるよう求めてい る。

ラスムセン事務総長は「第2次世界大戦後初めて、欧州の1国が武力によって別の国の領土を奪おうとした」「欧州が力による支配に屈して法の支配に背を向けることがあってはならない」と力説した。

政府側と親ロシア派の交戦で被害を受けたドネツク市内の建物

ウクライナはNATOに加盟していないものの、NATOとの関係を強めている。NATOはウクライナ軍に約2000万ドル(約21億円)を提供し、主にサイバー防衛、後方支援、指揮統制能力の強化を支援すると表明した。

ウクライナのポロシェンコ大統領はNATOによる支援を「画期的な出来事」と形容、「(協力関係は)ウクライナとNATOの20年の関係において最高レベル」と評価した。

アフガニスタンについてはNATOの国際治安支援部隊(ISAF)の駐留期限が年内で切れる。ISAFの駐留期間を延長するために必要な地位協定は、同国の大統領選の混乱の影響で8月の第1週に予定されていた新大統領の就任が無期限に延期されたため、調印のめどが立たない状況だ。

ラスムセン事務総長は、「来年からはアフガニスタン軍の訓練や助言を行う新たな非戦闘ミッション」を通じてアフガニスタン支援の取り組みを続けたい意向だとしながらも、「(地位協定の)署名がなければ作戦はあり得ない」と強調。「時間は限られている。法的枠組みが早く整うほど状況は良くなる」と語った。

NATO首脳会議が開催

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