北朝鮮が見せたい景色、CNN取材班が平壌入り

北朝鮮の選手がトレーニングを行う様子

2014.09.03 Wed posted at 19:50 JST

平壌(CNN) 川の中州にそびえるホテル、旧式の携帯電話、外国人の取材に戸惑う子どもたち――。欧米のジャーナリストはめったに足を踏み入れることのない北朝鮮を、CNN取材班が先月末に訪問した。

首都・平壌で30日、国際プロレス大会が開催された。日本の元プロレスラー、アントニオ猪木・参院議員が中心となり、米国や中国の選手も参加した。

米プロバスケットボールNBAの元選手、デニス・ロッドマン氏も猪木氏と同じように「スポーツ外交」を掲げて訪朝したが、外国の報道陣は招かれなかった。今回はいくつかの報道機関が取材を許可され、その中にCNNも入っていた。

平壌に到着してすぐに向かったのは、川の中州に建つ欧米式のホテルだった。政府が付けた案内役が同行しない限り、外出は許されない。撮影は案内役に厳しく監視され、撮ってはいけない方向にカメラを向けると制止される。

ホテルの朝食は西洋風のオムレツとポテト、夕食は同国の料理だった。

平壌にある紋繍遊泳場ではウオータースライダーで遊ぶ家族連れの姿が見られる

街を見回すと、携帯電話を持っている人の姿もあった。ただしタッチパネル式ではなく、閲覧できるのは北朝鮮の政府や主要紙のサイトに限られる。

大会前日の朝は、故・金日成主席の生家を訪れた。平壌に来た人はだれもが足を運ぶという「聖地」だ。北部の農村部からバスを連ね、23時間もかけて見学に来たという子どもたちがいた。この場所の感想を尋ねると、習ったことを暗唱してくれた。私たちと会話するよう案内役が促しても、外国人とテレビカメラの前ではにかんでいるのか緊張しているのか、応じようとしなかった。

続いて「紋繍遊泳場」というウォーターパークを訪問した。金正恩第一書記は個人的に113回も視察に来るほど、建設に力を入れていたという。子どもの姿は多くなかったが、家族連れが水遊びを楽しんでいた。ほかに新設の小児病院や、スポーツ施設にも案内された。

しかし取材班に見えるのは、平壌の名所や金一族の肖像、愛国心を掲げた立派な式典など、政府が許可した物ばかり。案内役に「一般市民の本当の暮らしを見せてもらえないだろうか」と質問してみたが、返ってきたのは「上司に聞いてお返事します」という言葉だった。

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