マンUのスポンサー戦略、地域提携が成功の鍵

スポンサー戦略では他の追随を許さないマンチェスター・ユナイテッド。その鍵は?

2014.10.26 Sun posted at 17:47 JST

(CNN) 昨シーズンの低迷から巻き返しを図るサッカーのイングランド・プレミアリーグの名門チーム、マンチェスター・ユナイテッド(マンU)。今シーズンは開幕戦を落とすなどピッチ内では依然として厳しい戦いを強いられているが、その画期的なスポンサー戦略においては他チームの追随を許さない。

世界中の国や地域ごとにそれぞれ「地域スポンサー」契約を結んでいるのが特徴で、2013~14年シーズンには、「地域スポンサー」がらみの38の契約を通じて4260万ドル(現在のレートで約46億円)の収入を生み出した。 

このようなマンUの地域提携戦略が始まったのは2008年。蒸留酒大手英ディアジオ傘下のウオツカブランド「スミノフ」との間に、アジア太平洋地域におけるスポンサー契約を結んだのが端緒だ。

以後、マレーシアの通信大手テレコム・マレーシア(TM)や、サウジアラビアの携帯通信大手サウジ・テレコム(STC)など、地域スポンサーの数は増え続けている。

スポーツ市場調査会社レピュコムによると、13~14年シーズン、マンUの地域スポンサー関連の収入は、2位のバルセロナ(スペイン)の4.5倍以上だった。

今季から指揮を執ることになったファン・ハール監督

莫大(ばくだい)なテレビ放映権料と比べれば、地域スポンサーは収入源としてはまだまだ微々たるものだが、マンU以外のチームも続々と地域提携に乗り出している。

バルセロナは、メキシコのビール「テカテ」を同国内の公式ビールに指定。プレミアリーグでは、マンUの宿敵であるリバプールも、オンラインカジノ大手「ComeOn!」をスカンジナビア地域の公式サッカーくじパートナーとしている。

もともと世界的に人気があったマンUだが、海外での本格的な提携戦略を視野に入れ始めたのは、2005年に米国人実業家のマルコム・グレーザー氏とその一家がクラブを買収し、大企業ブランドとの連携に乗り出してからのことだ。

当時、サッカークラブの主要スポンサーにとって、ユニホームに企業名を入れて宣伝するのが主な収入源だった。

これは現在でも変わらず、マンUのユニホームには今シーズンから7年間、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の主力ブランド「シボレー」のロゴが入る。GM側が支払う額は、1シーズンあたり8000万ドルになる見込みだ。

だが、現在ではスポンサー契約のあり方は多様化してきた。マンUの場合、チリワインの「カッシェロ・デル・ディアブロ」が公式ワインに指定されているほか、東芝メディカルシステムズが医療機器関連の公式パートナーとなった。さらに麺の公式パートナーまでおり、日清食品グループと契約を結んでいる。

レピュコムのサッカー担当のアンドリュー・ウォルシュ氏は、欧州サッカークラブのこうした地域提携の動きについて、「個々の地域市場に合わせてクラブ資産を細分化していく手法だ」と分析する。

もっとも、地域スポンサー戦略が十分に機能するには、ピッチ内でのクラブの成功が不可欠だ。昨シーズンの低迷から脱すべく登用されたファンハール新監督には当然、名門再建の重責が課されているが、同監督としては新選手獲得にあてる移籍金がほしいところ。

こうした移籍金を捻出するためにも、引き続き、公式ワインや公式麺が増えていきそうだ。

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