北朝鮮で拘束の米国人3人、米政府に助け求める

北朝鮮で拘束されている米国人の3氏

2014.09.02 Tue posted at 11:54 JST

平壌(CNN) 北朝鮮で拘束された米国人3人が1日、平壌のホテルでCNNの取材に答え、それぞれの置かれた状況を説明して米政府に助けを求めた。

ケネス・ペ(46)、マシュー・トッド・ミラー、ジェフリー・エドワード・フォウル(56)の3氏は北朝鮮のホテルでCNN記者と面会し、それぞれ5分間以内の取材が認められた。

ただし、インタビューはすべて北朝鮮当局者の監視下で行われ、内容は録画された。3人がどんな状況で拘束されているのかを独自に取材することはできなかった。

北朝鮮で拘束された米国人を巡っては、クリントン元大統領が2009年に訪朝してジャーナリスト2人を帰国させた前例があり、現在拘束されている3氏も米政府に対して特使の派遣を期待すると訴えている。

ペ氏は北朝鮮政府の転覆をはかったとして禁錮15年を言い渡された。現在は労働教化所で1日8時間、週に6日間働いていると話し、「今は友人や家族に私のため祈り続けてほしいとしか言えない」と心境を吐露。「重労働」の中でも「可能な限り人道的」な扱いを受けていると語った。

CNNの取材に答えるジェフリー・エドワード・フォウル氏

同氏は糖尿病、高血圧、腎臓結石の疾患があり、健康状態の悪化が懸念されている。「この1年半は病院と労働強化所の間を行き来している」といい、過去1カ月半の間に症状が悪化して「両手はしびれて痛みを感じ、夜はなかなか眠れず、毎日屋外で働いている」と話す。

一方、観光ビザを破棄して北朝鮮に亡命を求めたとされるミラー氏は、「私は非常に差し迫った状況にある。間もなく裁判にかけられ、刑務所に送られるだろう」と述べ、「米政府は国民を守る政策で有名なのに、私のケースではまだ何も動きがない」と訴えた。

フォウル氏は観光で北朝鮮を訪れ、滞在していたホテルの部屋に聖書を置いていったとして罪に問われた。インタビューでは自分の待遇に不満はないと話し、「ここにいるのがあと2日だろうと20年になろうと、それが続くことを願う」と語った。

3人とも、それぞれの罪状を認める書面に署名したと話している。

CNNの取材に答えるマシュー・トッド・ミラー氏

今回のインタビューは予想外の状況で実現した。平壌郊外で政府のツアーに参加していたCNN取材班は、直ちに平壌に戻って政府高官と会わなければならないと知らされ、ワゴン車で極秘の場所へ向かった。そこで面会する相手が3人の米国人だと知った。

3人の解放に向けた交渉について、米国家安全保障会議(NSC)のベントレル報道官は1日、「できる限り早く解放が実現できるよう、今後も可能な限りの手を尽くす」と述べている。

国務省のサキ報道官も、北朝鮮に対してペ氏の恩赦を働きかけていることなどを明らかにしたうえで、引き続き3氏の解放を求めていく方針を確認した。

米国人の安全確認は在北朝鮮スウェーデン大使館が仲介しており、担当者が6月20日にフォウル氏を、5月9日と6月21日にミラー氏を訪問。ペ氏については8月11日までの間に12回にわたって労働教化所で面会しているという。

北朝鮮で拘束の米国人に話を聞く

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