「チョウの飼育」に商機 米先住民地域でビジネス化の取り組み

チョウを使ったビジネスの需要が拡大しているという=ジェーン・ブレッキンリッジ氏提供

2014.09.01 Mon posted at 17:17 JST

ニューヨーク(CNNMoney) 米南部オクラホマ州で、チョウの飼育をビジネスとして成立させようとする先住民地域での試みが話題を集めている。動物園や博物館に売ったり、冠婚葬祭の場の演出として飛ばしたりするなど、チョウへの需要も増大しているようだ。

ジェーン・ブレッキンリッジ氏は20年以上、チョウ飼育の仕事を続けてきた。オクラホマ州のユチ・バタフライ・ファームにおける彼女のチームは、ミネソタ州祭りのような場で「チョウの家」を展示して回っている。この展示場では、広大な公園状の空間を歩き回りながら、実際に数千匹ものチョウを見学し、時には給餌することもできる。

同氏は「この産業は成長している最中であり、チョウの数もまだまだ足りない」と話す。

ニューヨークのアメリカ自然史博物館やブロンクス動物園といった大施設から、各地の小学校に至るまで、大小さまざまな組織からチョウ購入の問い合わせが届いているという。

ユチ・バタフライ・ファームでは年間2万匹ほどのチョウを飼育しているが、それでも需要に追いつかないほどだ。そのため、主に中米コスタリカからさらに2万匹のチョウを輸入し、不足分を補っている。

チョウ・ビジネスは飛躍の時を迎えるか

チョウ1匹の値段は、卸売価格で75セント(約8円)から7ドル(約700円)までとなっており、チョウの種類や時期により価格が変動する。

ブレッキンリッジ氏は、米農務省(USDA)からの50万ドル(約5000万円)の雇用創出助成金を使って、ユチ・ファームの事業を拡大させたいと考えている。助成金は先住民の雇用促進に充てられる予定。部族のメンバーは自らチョウを飼育しユチ・ファームに売るための訓練を受けることになる。

もちろん、チョウの飼育で最初からフルタイムの仕事並みの収入が得られるわけではない。ブレッキンリッジ氏によれば、部族のメンバーが手にする額は、3月から10月までの期間に、月400~500ドル(約4万~5万円)ほどだという。同氏は、部族メンバー100人を募り、1年以内に運営にこぎ着けるつもりだ。

USDA農村地域開発局オクラホマ州事務所のブライアン・ワイルズ所長は、この地域はオクラホマ州の中でも特に失業率が高いため、収入を得る手段なら何でも歓迎だと話す。

チョウの寿命は数週間足らずであり、種によってはわずか数日の命だ。このため、特定のイベントに合わせてチョウを飼育し移送するのは難事業になる。

特定のイベントに合わせてチョウを育成するのは難しいという

ブレッキンリッジ氏は何とか輸送を実現するため、チョウを人工的に「冬眠」させている。約4度から10度の温度に保った環境に置かれると、チョウは羽を閉じるため、一晩にして容易に輸送できるようになるのだという。

なおブレッキンリッジ氏は、ユチ・バタフライ・ファームの年間収益について、明らかにしていない。同氏本人とその夫、さらにビジネス上のパートナーであるデイビッド・ボールケン氏が生活していくのに十分なだけの額、と説明するにとどまっている。

実際、これは簡単なビジネスではない。ブレッキンリッジ氏は週7日のペースで働いている。スズメバチに刺されることもあれば、サンダルをはいた足の上をヘビがはっていくこともある。

だがブレッキンリッジ氏は「展示場で人々の顔に浮かぶ表情を目にすると、大きな満足感が得られる。人々をあっと驚かせるのが自分たちの役割」とやりがいを語った。

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