ニューヨーク(CNNMoney) 米デラウェア州で、故人が利用していたインターネット上のアカウントやストレージなど広範なデジタル資産に相続人がアクセスできると定めた州法が成立した。米国の州でこうした法律が制定されるのは初めて。
同法は先週から施行された。州下院民主党によると、「電子メール、クラウドストレージ、ソーシャルメディアのアカウント、診療記録、コンテンツのライセンス、データベースといったデジタル資産」に遺言執行者がアクセスすることを認めている。
米国ではコネティカット、ロードアイランドの両州も、遺言執行者による故人の電子メールアカウントへのアクセスを認めるなど、複数の州がこうした方向に進んでいる。
民間企業でも、例えば米グーグルの電子メールサービス「Gメール」ではユーザーが受益者を指定しておくと、一定期間そのアカウントが使われなかった場合、グーグルからユーザーに連絡を取り、返事がなければ受益者がログインできる状態になる。
受益者が指定されていない場合、相続人が故人のアカウントにアクセスするためには死亡証明書の提出などの面倒な手続きに時間を取られる。アクセスが認められない場合も多い。
ツイッターでも遺言執行者や遺族と証明できる人物がアカウントを停止させることは可能だが、やはり死亡証明書などの提出が必要だ。
デラウェア州のような法律が制定されれば、こうした各社が個々に定める規定に悩む遺族にとって朗報となる。
ただ、グーグルやフェイスブックなどが所属するプライバシー保護団体の顧問弁護士は、デラウェア州の州法は行き過ぎだと述べ、インターネットのアカウントが相続されれば故人や故人とやりとりをしていた関係者のプライバシーが侵害されかねないと懸念を示した。