リチャード3世はワイン好きの美食家 遺骨から判明

リチャード3世の頭がい骨=レスター大学提供

2014.08.20 Wed posted at 13:11 JST

(CNN) 15世紀のイングランド王、リチャード3世はぜいたくな料理を好み、毎日ボトル1本のワインを空けていた――。2年前に発見された遺骨の分析から、そんな暮らしぶりが浮かび上がってきた。

リチャード3世の遺骨は2012年、英イングランド中部レスターの駐車場から発掘された。

英地質調査所(BGS)の研究者らがこの遺骨に含まれる酸素、ストロンチウム、窒素、炭素などの同位体を分析し、結果を考古学専門誌JASに発表した。

生物の体を構成する元素の同位体比には、生活環境や食生活が反映される。研究を率いた同位体地球化学者のアンジェラ・ラム博士によると、チームはリチャード3世の遺骨から臼歯と小臼歯、肋骨(ろっこつ)と大腿(だいたい)骨を1本ずつ取り出して分析した。

歯の成分は子ども時代に生えたまま変化しないため、子ども時代の生活を知る手掛かりとなる。一方、体の骨は折れても修復されることから分かるように、生涯を通じて変化する。その中でも肋骨は密度が低く、2~3年の周期で生まれ変わる。大腿骨は密度が高くて代謝が遅いため、10~15年ほどさかのぼった時期の生活が反映される。

発掘された骨をリチャード3世の親族の直系子孫のDNAと照合した結果一致した=同大学提供

リチャード3世は1485年、王位に就いてからからわずか2年2カ月後に戦死した。代謝の周期が異なる骨を調べることにより、即位前後で食生活が大きく変化したことが分かったという。

貴族出身でもともとぜいたくな暮らしをしていたリチャード3世だが、即位後は特にクジャクやハクチョウといった高級食材を含む鳥の肉、コイやカワカマスなどの淡水魚を中心とした高たんぱくの食事を楽しんでいたようだ。当時は宗教上、1年のうち3分の1は肉を食べてはいけない期間とされていたが、鳥や魚は容認されていた。

リチャード3世のように正確な記録が残っている人物の遺骨を、最先端の技術で分析できるのは、非常に貴重な機会といえる。分析結果を記録と照合することで新たな発見もあった。

酸素同位体の構成比にはどこの水を飲んでいたかが表れるとされ、リチャード3世は晩年を英国の南西端部で送ったと読み取れるような分析結果が出た。しかしこれは記録と一致しない。

復元されたリチャード3世の顔面

チームは酸素同位体比に影響を及ぼす別の要因を探した。ビールに同じような作用があることは知られているが、当時庶民の飲み物だった。そこで浮上したのが、上流階級だけが味わうことのできた酒、つまりワインだ。

現代のワインを使って実験を繰り返した結果、酸素同位体比に影響することが初めて確認され、リチャード3世は1日1本ほどの量を飲んでいたとの結論が導き出せたという。

リチャード3世の生活は?

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