宇宙からの観測画像180万枚分析へ、NASAが協力者募集

朝鮮半島の夜の写真。衛星画像の分析についてNASAが協力を呼びかけている

2014.08.18 Mon posted at 12:21 JST

(CNN) 宇宙から撮影した画像180万枚の分析作業に、一般市民からの協力を――。米航空宇宙局(NASA)がインターネットを通し、世界に呼び掛けている。

NASAは「宇宙飛行士が撮影した地球の写真」と題して、最初の有人宇宙飛行計画「マーキュリー計画」以降、50年以上にわたって撮影した画像を公開している。

計180万枚余りのうち、国際宇宙ステーション(ISS)からの撮影が130万枚を占め、3割前後が夜間の画像。これらを環境、保健分野などの研究に役立てることが、NASAの目標だ。

ISSは地球の周りを高速で飛行しているため、夜間の画像は当初、画質が悪かった。2000年代に入り、欧州宇宙機関(ESA)が開発した電動三脚「ナイトポッド」の導入でぶれを補正することが可能になり、今では人工衛星画像をしのぐ解像度を誇っている。

分析作業を主導するスペインのマドリード・コンプルテンセ大学のチームによると、作業は3段階のプロジェクトに分かれている。

「ダーク・スカイズ」と呼ばれる第1段階は、専門知識を必要としない簡単な作業。画像に写っているのが市街地か夜空の星か、そのほかの物体なのかを目で見て分類する。これらを機械で自動的に識別することはほぼ不可能だという。

第2段階は「ナイト・シティーズ」。夜の街を撮った画像が地図上でどこに位置するかを特定する。自分が住む街のことなら簡単に見分けることができそうだ。

国際宇宙ステーション(ISS)=NASA提供

第3段階の「ロスト・アット・ナイト」は、最も高度な作業とされる。ISSから撮影した半径500キロの画像が、地球上のどこに当たるのかを捜し当てる。撮影時のISSの位置は分かっているが、飛行士がカメラを構えた方向などは不明。チームのメンバーは「まるで30万ピースのパズルを解くようなものだ」と話す。

すでに数百人のボランティアが参加を表明し、約2万枚の画像に取り組んでいる。

NASAは、ミスを防ぐためにそれぞれの画像を複数の目でチェックする必要があるとして、より多くの市民の参加を呼び掛けている。

街の光の分布地図が完成すれば、各地の経済や節電の状況がひと目で分かる。たとえば、明るく輝く韓国と中国の間には、ほとんど光のない北朝鮮が横たわっている。

一方、経済危機に直面するスペインの首都マドリードと、欧州で最も経済が安定したドイツの首都ベルリンの画像を比べると、マドリードの方がずっと明るく見える。これはドイツの省エネが進んでいるためと考えられる。

プロジェクトの成果は、道路灯と交通安全の関係や、都市の光害と住民の健康状態との関係を調べる研究などにも活用される見通しだ。

米宇宙飛行士が見た地球

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