(CNN) 化学兵器禁止機関(OPCW)は13日、内戦下にあるシリアのアサド政権が申告していた化学兵器の原料の大部分が洋上で廃棄されたと発表した。米政府の船舶上で処理されたのは神経ガスのサリンやソマンの材料となる化学物質の約581トン。
同船「ケープ・レイ」上で未処理となっているのはマスタードガスの原料約19.8トン分のみで、この作業が終わればシリアから国外搬出された化学兵器原料の洋上廃棄は完全に終了することになる。
無毒化された原料はフィンランドやドイツの施設でさらに処理される。
また、英国やフィンランドの施設でも他の化学兵器の原料の処理が進められている。OPCWは先週、シリアが引き渡した化学兵器原料の74%以上がこれまで廃棄されたと報告していた。
シリアは昨年、欧米が軍事介入の構えを見せる中で、化学兵器の廃棄作業に合意。この前には、政権軍が国内で住民に対し有毒ガスを用いたとの非難を浴びていた。
化学兵器原料の最終分は今年6月、シリアのラタキア港からデンマーク船が運び出し、7月にイタリアの港でケープ・レイへ積み替えていた。その後、同船は地中海の公海上に移動し、処理に当たっていた。
OPCWのウズムジュ事務局長は当時、国内騒乱に襲われる国から大量破壊兵器が丸ごと取り除かれた例はないと評価していた。
ただ、シリアに無申告の化学兵器や原料が隠されているのかはわかっていない。
国連によると、シリア内戦での死者は過去3年で15万人以上となっている。