(CNN) 民間企業による月面探査の一番乗りを競う米グーグルのレース「ルナ・エックス・プライズ」は、来年12月末に期限を迎える。世界で日本を含む18の参加チームが探査機の試作などに取り組んでいる。
レースは7年前にスタートした。探査機を月に到達させたうえで、月面を500メートル以上走らせ、高解像度の映像を地球に送信させることなどが条件。政府からの助成は資金の10%以下に抑えなければならない。一番乗りのチームには、賞金2000万ドル(約20億円)が贈られる。
主催財団の責任者は、「競争は技術革新につながる。ルナ・エックス・プライズには、優秀な人材を集めて民間宇宙開発を加速させる効果がある」と話す。
参加チームの1つ、米アストロボティック社にはもともと、月と地球を結ぶ物流事業という長期計画があり、始動のきっかけとしてレースへの参加を決めた。
米カーネギーメロン大学と共同の「スカイライト計画」では、月面上の「死の湖」への着陸を目指して宇宙船と探査機の開発に取り組んでいる。月面で見つかっている縦穴が地下の洞くつにつながっているとの仮説を検証する予定だ。
同社のジョン・ソーントン最高経営責任者(CEO)は、「月へ移住するならまず地下に居住施設を設けるべきだ。月面に降り注ぐ微小ないん石や放射線から身を守ることができる」と主張する。
宇宙船の打ち上げ予定は、レースの期限が目前に迫る来年末。資金調達のアイデアとして、ほかの参加チームやそれ以外の研究機関の「相乗り」も受け入れるという。
「わが社の宇宙船から各チームの探査機が続々と降り立ち、賞を目指して競い合う。月面からの実況でカーレースのような興奮が味わえるだろう」と、ソーントン氏は熱を込める。
米ムーン・エクスプレス社は、月面では重力が地球の6分の1にとどまり、空気抵抗もないという点に着目。この特徴を生かし、離陸と着陸を繰り返すことによって移動する探査機を開発している。
日本からは、袴田武史氏が率いるチーム「ハクト」が参加している。月から連想する白い兎(うさぎ)にちなんだチーム名だ。東北大学との共同開発で、すでに試作機の実験を重ねている。