(CNN) 世界保健機関(WHO)は11日、エボラ出血熱の治療を巡って医学倫理の専門家らによる会合を開き、未承認の実験的な薬の使用を容認するとの立場を示した。
WHOによると、西アフリカで流行しているエボラ出血熱の感染者は1848人、死者は1013人に達している。
会合は全会一致で、効果や副作用が確認されていない薬を患者に使っても倫理上問題はないとの結論を出した。
WHOのキーニー事務局長補は、今回の流行では従来と違い、防護服や接触者の追跡調査といった通常の手法のスピードが追いついていないようだと指摘。発生国の医療体制が整備されていないため、対策に限界があるとも語った。
会合では「命を救える治療薬があるなら使うべきではないか」との意見が出たという。
キーニー氏によれば、開発段階の薬やワクチンは数種類あるものの、いずれも臨床試験に至っていないうえ、在庫も限られている。
治療薬がないという事実の背景には市場の原理があると、キーニー氏は話す。
「エボラ出血熱の患者は貧困国に住む貧しい人々が大半を占めるため、市場が成立しない」という。キーニー氏は、この問題を今こそ是正すべきだと強調した。
WHOは今月末に再び会合を開き、限られた薬の投与対象をどのように決めるかについて話し合うという。WHOは供給を仲介せず、情報提供にとどめる方針だ。
エボラ出血熱の治療ではこれまでに、米カリフォルニア州のマップ・バイオファーマシューティカル社が開発している未承認の薬「ZMapp」が、リベリアで感染した米国人医師ら2人とスペイン人神父に投与された。米国人2人は快方に向かっているとされるが、神父は11日朝に死亡した。
リベリア政府は国内の医師2人の治療のため、ZMappの供給を要請。米食品医薬品局(FDA)がこれを承認し、薬は週内にも同国へ送られることになっている。
米ケンタッキー・バイオプロセシング社がZMappの量産に取り組んでいるものの、実現までには数カ月かかるといわれている。
エボラ流行、現地の様子は