国内で支持率急落のオバマ米大統領、世界の見方は

オバマ米大統領に対する世界の支持率は?

2014.10.05 Sun posted at 18:00 JST

(CNN) 米国内では支持率が低下し窮地に立たされているオバマ大統領だが、国外では今でも根強い人気を誇っている――。世論調査機関のピュー・リサーチ・センターがこのほど、こんな調査結果をまとめた。

2008年の大統領選挙時、オバマ氏の当選は国外でも歓迎された。ジョージ・W・ブッシュ前大統領が中東での軍事作戦を続け、世界で反米感情が高まる中、国際関係好転への期待が高まった。

それが近年では、米国家安全保障局(NSA)による他国指導者の盗聴行為が暴露され、国内的にも「レームダック(死に体)」化が指摘されるなど、オバマ氏を取り巻く状況は厳しい。ただ、今回の調査結果によると、国外での人気はいまだ健在なようだ。

調査対象となった43カ国のうち27カ国で、過半数の国民が、国際問題についてオバマ氏が正しいことをしていると信頼していると回答。各国におけるオバマ氏支持率の中央値は55%になっている。

大半の国ではオバマ氏に対する評価は2013年から変わっておらず、2桁単位で支持率が急落したのは日本、ブラジル、ドイツ、アルゼンチン、ロシアの5カ国だけだった。イスラエルと中国では逆に、評価が高まっている。

NSAによる盗聴問題で、ドイツでの支持率が下落

特に西欧諸国でのオバマ人気は高い。フランスでは8割、イタリアと英国では4人に3人がオバマ氏の国際政策を支持している。NSAが国内外で電子メールや電話のやり取りを傍受していたことが暴露されたものの、実際に去年、欧州連合(EU)内で大幅に支持率が低下したのはドイツだけだ。

ドイツの場合、米情報機関によるスパイ活動疑惑が発覚して以来、去年1年でオバマ氏の支持率が17ポイント低下した。

ロシアではもともと、2013年からオバマ氏の人気が低迷していたが、ウクライナ情勢への米国の対応を受けてさらに支持が14ポイント低下し支持率は29%にまで下落した。

アジアにおいても、西欧諸国の場合と同様、オバマ氏を支持する声が多い。調査対象のアジア11カ国のうち9カ国では、国民の過半数がオバマ氏を信頼している。

特にフィリピン(89%)と韓国(84%)では支持率が高い。中国でも約半数の支持を得ており、去年1年で20ポイント上昇した。パキスタンは世界で最も批判的で、支持率はわずか7%にとどまっている。

訪日時に二足歩行ロボットと対面したオバマ米大統領(左から2人目)。日本での支持率は低下したという

アフリカ各国はおおむねオバマ氏に好意的で、調査対象の7カ国すべてにおいて過半数の支持を集めている。一方、南米では批判的な声が多い。去年1年間で、ブラジルでは17ポイント、アルゼンチンでは13ポイントも支持が低下した。

地域別にみて最も批判的なのは中東だ。パレスチナではわずか13%、ヨルダンでは17%、エジプトでは22%の支持にとどまっている。対照的にイスラエルでは信頼が厚く、回答者の4分の3がオバマ氏を支持している。

オバマ氏の支持率は過去1年間、比較的よくもちこえたと言えるが、2009年の就任当初に比べると大きく数字を落とした。

比較可能なデータがある21カ国のうち、19カ国で支持率が低下している。この4年間で支持率低下が顕著だった国としては、アルゼンチンで30ポイント、日本で25ポイント、エジプトで23ポイント、ドイツとロシアで22ポイントの下落となっており、失望感は否めない。

ただ、前任のブッシュ氏に対する信頼度が2008年、20カ国の中央値でわずか19%にまで下落していたことを考えると、全体としてみればやはり、オバマ氏は米国大統領への信頼を回復したと言えるだろう。

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