ロンドン(CNN) 欧州宇宙機関(ESA)の彗星(すいせい)探査機「ロゼッタ」が、観測対象となるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)に接近している。約120キロ圏内まで接近して写真を撮影し、11月には彗星の表面に着陸機「フィラエ」を降ろす計画だ。
成功すれば、太陽を周回する彗星の周りを探査機が回るのも、着陸機を降ろすのも初めてとなる。
ロゼッタは地球と火星の重力を使って目標の軌道に投入され、電力を節約するため2年間の「冬眠」を経て、今年1月に再起動していた。
今後は1年以上にわたってチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星を追跡する予定で、間もなく彗星の表面図を描く作業を開始し、重力の状態を調べてフィラエの着陸候補地を探す。
彗星は太陽に近づくと氷が解け、ガスやちりの尾を引くようになる。研究チームはこの現象を近距離からとらえ、核が変化していく様子を観察したい意向だ。
観測を通じて彗星の構造についての理解を深めるとともに、彗星から地球に水や生命の源となる化学物質がもたらされた可能性を探る。
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は短周期彗星に分類され、約6年の周期で太陽を周回している。肉眼では観測できないが、計画の進捗(しんちょく)状況はロゼッタの専用サイトでチェックできる。
探査機「ロゼッタ」が彗星に接近