「世界一好き」のUAE、今度は巨大動物の収集か

ドバイの水族館に最近登場した大型のワニ

2014.08.03 Sun posted at 16:59 JST

(CNN) ビルやショッピングモールからキャンディー店まで高さや大きさなどで世界一の施設が揃う中東アラブ首長国連邦(UAE)のドバイが今度は、巨大サイズの動物にも目を向け始めたようだ。

「ドバイ・モール」内にある水族館に最近、世界最大とする「タコ」が登場した。太平洋に生息するとされる個体で、体長は約4・3メートル、体重は70キロ超。

同水族館は先月初め、世界最大の爬虫(はちゅう)類の1つとされる「ワニ」を手に入れたとも発表していた。重さは約726キロ。雌の1匹も同行した。

レジャー産業のコンサルタント企業の責任者は、同水族館によるこれら大物の獲得はドバイの世界一好きと関係があると指摘した。

ドバイは過去にも、娯楽施設の開設に伴う呼び物として中東では珍しい動物を紹介する例があった。2012年には屋内スキー場にペンギンを登場させた。08年にはホテルの屋内水族館に「ジンベエザメ」を泳がせ、動物保護団体から反発を受けたこともある。

コンサルタント企業の責任者は話題を集めそうな動物を見せる趣向は、高額なホテル料金を正当化し、占有率を高めるための添え物とも説明している。

ドバイの水族館に最近登場した大型のワニ

巨大な「タコ」や「ワニ」の展示について、地元などの動物保護団体は冷ややかに見ている。米国の動物権利擁護団体「PETA」のアジア・中東担当幹部は野生のワニは一定時間を泳ぎながら、体温や浮力の調整を行っていると指摘。飼育場がいかに大きくても彼らにとって自然かつ必要な環境には成り得ないと主張した。

「ドバイのモールが同様施設と差を付けたいのなら、コンクリート製の飼育場で動物を閉じ込めるのとは別の方法があるだろう」とも批判した。

モールの開発業者によると、ワニ2匹はオーストラリアのワニ園から仕入れた。ドバイへの輸送は豪州政府の関連部門と協力して実施したとし、展示に伴ってはその方法や飼育担当員の資格、展示の教育的な目的などで教えを受けたとしている。

また、ワニ2匹の飼育場については世界の動物園・水族館団体が基準とする広さの3倍にしたとも主張した。

UAEの環境・水資源省は昨年、大型ネコ科や霊長類を商業目的や個人的な理由で輸入することを禁じる方針を発表した。ただ、首長国連邦ではペットとして大型ネコ科などを飼うことは自らの社会的地位を誇示する手段として根強い人気がある。画像共有サービス「インスタグラム」では、UAE住民が珍しい動物の収集を誇示する画面も見られる。

PETA幹部によると、これらの動物の取引はほとんど規制されておらず、飼育数の把握も困難になっている。生息地からの輸送の途中で死ぬ動物も多い。ただ、動物保護の概念はUAEにまだ定着していないが、理解が深まりつつあるとし、関連団体の誕生も増えていると述べた。

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