ガザ市(CNN) パレスチナ自治区ガザで戦闘を続けるイスラエルとイスラム原理主義組織ハマスは、1日午前8時に人道目的の72時間の停戦に入ったが、その約2時間後に停戦は崩壊し、戦闘が再開された。
停戦が破られたのは、ガザ南部の都市ラファで停戦から約90分後にイスラエル軍の兵士が攻撃を受けたためと見られる。イスラエル軍によると、同軍の兵士が、ハマスがイスラエルの国境を破るために作った地下トンネルの破壊活動を行っていたところ、トンネルの中から武装勢力のメンバーが現れ、自爆テロを実行したという。
これを受け、イスラエルはガザ地区における武装勢力の拠点とされてきたラファへの砲撃を再開した。ガザの保健省によると、このイスラエルのラファへの攻撃で、少なくとも62人が死亡、350人が負傷したという。
またイスラエルはパレスチナ人武装勢力がイスラエル軍の兵士2人を殺害し、1人を誘拐したと主張しているが、ハマスのハムダン報道官は、イスラエル兵の誘拐はイスラエルの「でっち上げ」と反論している。
イスラエルとハマスは、停戦崩壊の責任をなすりつけ合っており、イスラエル国防軍(IDF)は、ラファで同軍の兵士が攻撃を受けたため、自己防衛を余儀なくされたと主張。イスラエル政府のマーク・レゲブ報道官も、ガザからイスラエル南部にロケット弾が撃ち込まれたと語った。
一方、ハマスのハムダン報道官も停戦を破ったのはイスラエルだと非難し、パレスチナ人武装勢力には自己防衛の権利があると主張した。
停戦の仲介を行った米国のケリー国務長官は、イスラエル兵への攻撃に対し「停戦の重大な違反行為」と非難した。またオバマ大統領も記者会見で、停戦が破られた責任はハマスにあると述べた。
オバマ大統領は「(ハマスが)停戦を真剣に考えているのであれば、(誘拐されたとされる)イスラエル兵を無条件で解放する必要がある」と主張。さらに「ハマスが停戦に従うという信頼がなければ、破られた停戦を回復するのは難しいだろう」との見方を示した。