ガザ(CNN) イスラエル軍とイスラム組織ハマスが衝突するパレスチナ自治区ガザ情勢は停戦成立の見通しが立たないまま、非難の応酬が続いている。
パレスチナ保健当局によれば、ガザ北部にある学校が30日朝、イスラエル軍からの砲撃を受け、少なくとも20人が死亡した。イスラエル軍はこの件について調査を行っているという。
パレスチナ解放通信(WAFA)は、パレスチナ自治政府が24時間から最長72時間の休戦を提案し、ハマスがこれに同意したと伝えた。しかし、ガザのハマス報道官はこの報道を否定した。
ハマス側は、イスラエルがガザ封鎖を解除しない限り交渉には応じないとの立場を示す。ハマス軍事部門トップのデイフ氏はハマス系テレビ局を通し、「こちらの住民の安全が確保されない限り、イスラエルも安全を手に入れることはできない」と述べた。
イスラエルはハマスがガザを実効支配した2007年以降、ガザへの武器流入を阻止するためとして境界の封鎖を続けてきた。
これに対して人道支援団体などから、住民が生活必需品を入手できず危機に追い込まれるとの非難が集中している。
一方、イスラエルのネタニヤフ首相は停戦の前提条件として、ガザからの地下トンネルを破壊する必要があると主張する。ハマスはこのトンネルを使ってイスラエル領内への攻撃を繰り返している。
イスラエル政府のレゲフ報道官はCNNとのインタビューで、「ハマス側の死者もイスラエル側の死者もすべてハマスの責任だ。ハマスが停戦を拒否するから戦闘が続き、人々が死んでいくのだ」と非難した。
エジプトが提案した先週の休戦は、イスラエルが同意したもののハマスが拒否して失敗に終わっている。
ガザではこの日、唯一の発電所が攻撃を受けた。パレスチナ当局者らはイスラエルによる空爆との見方を示したが、イスラエルは「発電所は狙っていない」と主張した。
ガザのエネルギー当局幹部は、復旧までに少なくとも1年はかかるとの見方を示し、病院や下水処理施設、家庭などに十分な電力が供給できないと訴えた。
ハマス系テレビ局は29日朝、イスラエル軍がガザ西部の財務省ビルやハマス政治部門幹部の自宅、ハマスが運営するラジオ局を空爆したと伝えた。ガザ北部の避難所が砲撃を受け、10人以上の死者が出たとの情報もある。
パレスチナ保健当局によると、イスラエルとの戦闘によるガザの死者は少なくとも1242人、負傷者は7000人に達した。国連の推計によると、死者のうち70~80%を民間人が占めている。
イスラエル側は兵士53人、民間人3人の死者が出たと発表している。
ガザの地下トンネルに潜入取材