エルサレム(CNN) パレスチナ自治区ガザからの情報によると、同地区の海岸沿いに設けられた避難民のキャンプが28日、イスラエル軍の無人機によるとみられる攻撃を受け、子ども8人を含む10人が死亡した。
この日はイスラム教のラマダン(断食月)明けの祝日に当たり、避難民は子どもたちを外で遊ばせていた。突然爆発音が響いて地面が揺れ、近くの建物は穴だらけになったという。死傷者は近くの病院へ運ばれ、ハマス系のテレビ局が院内の状況を生放送で伝えた。ガザ保健当局によると、この病院自体も攻撃を受け、2人が負傷していた。
イスラエルは攻撃の直後、責任はガザの「テロリスト」にあるとするメッセージをメディアに送った。
現場の避難民らによれば、犠牲者の1人となった6歳の少年は、ほかの子どもたちとおもちゃのピストルで遊んでいた。算数とサッカーが大好きで、アルゼンチン代表のメッシ選手のファンだった。
現場で担架を引いていたある父親は「一瞬の出来事だった。遺体は頭部や手足が切断され、自分の子どもたちさえ見分けがつかなかった」と訴えた。
一方イスラエル軍は、この日に兵士5人が死亡したと発表した。ガザ南部の戦闘で1人が死亡し、ガザ境界近くに撃ち込まれた砲弾で4人が死亡、8人が負傷した。
また同日、武装集団がトンネルからイスラエル領内に侵入して民間人を攻撃しようとしたが、軍兵士らがこれを阻止し、メンバー1人を殺害したという。
イスラエルは28日午前0時まで一時休戦に応じていたが、ネタニヤフ首相は同日のテレビ放送で「ガザで長期戦を覚悟する必要がある」と述べ、ハマスのトンネルをすべて破壊するまでガザでの戦闘を続けると表明した。
パレスチナの和平交渉責任者、エレカット氏はCNNとのインタビューで「ガザの現状は火事で燃えている建物と同じ。まず住民を避難させ、火を消してから話し合いを始めなければならない」と話し、イスラエル軍にガザからの撤兵を求めた。同氏は国連の数字を基に、「死者の9割は女性と子どもが占めている」と指摘した。
イスラエル側は、民間人に死者が出ているのはハマスの責任だと主張。イスラエルが住民に避難を勧告してもハマスが引き止め、さらに市街地の住宅や学校、モスク(イスラム教礼拝所)をイスラエルへの攻撃の拠点に利用していると非難している。
夜空に照明弾 ガザ情勢