パナマの元独裁者、米ゲーム会社提訴 名前などの使用料要求

「コール・オブ・デューティ・ブラック・オプス2」の画面= Activision/Treyarch提供

2014.07.27 Sun posted at 16:51 JST

(CNN) 中米パナマで1980年代に独裁政権を敷いていたマヌエル・ノリエガ元将軍(80)は27日までに、自らの捕捉(ほそく)を主題にしたビデオゲームを販売した米カリフォルニア州の企業に対し、名前や画像などが勝手に使われたとして損害賠償を求める訴訟を起こした。

問題のゲームは米企業「アクティビジョン・ブリザード」が2012年に売り出した「コール・オブ・デューティ・ブラック・オプス2」。元将軍は同州ロサンゼルス郡の裁判所で起こした訴訟で、利益追求のため名前などを許可なく使ったと主張し、売上金の一部を請求する権利があるとした。

同社は今月20日の時点でコメントは出していない。アクティビジョン・ブリザード社は12年、同ゲームの販売開始後の数カ月間で売上高は10億ドル以上に達したと報告していた。現在の為替相場では約1020億円相当になる。

ゲームには冷戦時代などの歴史的な事実が盛り込まれ、米大統領の元補佐官や米中央情報局(CIA)の元長官らの類似人物も登場。元将軍はこの中で、誘拐犯、殺人犯や米国の敵として描かれていた。元将軍側は訴状で、これらの表現で名誉が損なわれたとも主張していた。

「コール・オブ・デューティ・ブラック・オプス2」の画面= Activision/Treyarch提供

一方、同社は12年、物語はあくまで想像の産物と説明していた。

米国のブッシュ(父)元大統領は1989年、パナマの政情混迷を受け、ノリエガ元将軍の統治が米国民の生命や財産に脅威となっていることなどを理由に同国への侵攻作戦を命令。元将軍はこれを受け、パナマのバチカン大使館に保護を求めていた。

しかし、90年1月に投降し、米国の民事裁判に立ち会うため身柄送還されていた。裁判では金銭の強要、資金洗浄や麻薬密輸の罪に問われ、禁錮約20年の判決が下されていた。コロンビアの麻薬密輸組織と結託し、数百万ドル規模の蓄財の罪も追及されていた。

2010年にはフランス内の銀行を使った資金洗浄の罪で同国裁判所は禁錮7年の判決を下し、米当局は仏への身柄送還に合意。翌年にはパナマへの送還が決まり、同国で政敵殺害の罪に伴う禁錮刑判決の刑期をつとめていた。パナマではたびたび病状を訴え、入院している。

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