ニューヨーク(CNNMoney) 米経済誌ブルームバーグ・ビジネスウイークは、ロシアのハッカー集団が米ナスダック市場のコンピューターに「デジタル爆弾」を仕掛けていたことが分かったと報じた。もし作動していれば、ナスダックのシステムや米国経済が大混乱に陥っていた可能性もあるとしている。
ナスダックのネットワークは2010年に不正侵入され、ウイルスが仕込まれた。このウイルスはスパイ活動に使われたり、情報を流出させたりする可能性があったほか、ナスダックのシステムに障害を発生させる恐れもあったとされる。
ブルームバーグはこの攻撃にロシア政府が関与していたと報じた。
これに対して在米ロシア大使館の報道官は「馬鹿げている」と一蹴、それ以上付け加えることはないと述べた。
米政府関係者によれば、米連邦捜査局(FBI)の捜査では外国政府の関与を裏付ける証拠は見つかっていないという。
関係者によると、捜査当局はサンクトペテルブルクに住むロシア人の男が単独で関与したとの見方を強めているという。シークレットサービスとFBIによれば、この男は2007~10年にかけてナスダックのコンピューターを執ように攻撃していたとされる。
ナスダックは情報が外部に漏れたりデジタル爆弾が爆発したことはないと強調しており、広報は「これまで一度もナスダックの取引システムが破られたことはない。情報が外部に流出している形跡もない」と語った。
しかし米大統領のサイバーセキュリティー顧問を務めたクリストファー・ファイナン氏は、サイバー攻撃によって取引が停止し、株式市場が大混乱に陥る可能性は現実に存在すると述べ、そうした事態を防ぐための対策を強化する必要があると指摘した。