エルサレムで衝突、ガザ空爆 少年殺害で対立激化

2014.07.03 Thu posted at 11:56 JST

エルサレム(CNN) エルサレムで2日、何者かに拉致された17歳のパレスチナ人少年が遺体で発見された。警察は、イスラエル人の少年3人が殺害された事件に対する報復の可能性もあるとみて調べている。

事件を発端としてイスラエルとパレスチナの対立も激化している。エルサレム市内では少年の殺害に抗議するパレスチナ住民とイスラエルの治安当局が衝突して多数が負傷。イスラエルは3日未明、パレスチナのガザ地区を空爆した。

エルサレムのシュアファット地区に住むパレスチナ人のムハンマド・アブ・クデールさん(17)は2日午前4時ごろ、自宅からモスクに向かう途中で男3人に拉致されて車で連れ去られた。約1時間後にエルサレム市内の林の中で遺体が見つかり、DNA鑑定でクデールさんと確認された。

イスラエル警察は、パレスチナで30日にイスラエル人少年3人の遺体が見つかった事件に対する報復だった可能性もあるとみて、捜査を進めている。遺体は焼け焦げ、暴行された形跡があったという。

今回の事件についてイスラエルの首相報道官は2日、私的制裁を慎むよう全関係者に呼びかけると述べ、「イスラエルは法治国家であり、誰もが法に従って行動しなければならない」と強調した。

米国務省のケリー長官はネタニヤフ首相との電話会談でパレスチナ人少年の死に哀悼の意を表し、「報復行為はただでさえ不穏な状況を一層不安定化させる」と懸念を示した。

殺害されたイスラエル人少年の葬儀で国旗を掲げる人々

パレスチナ自治政府のアッバス議長は被害者の少年の父親と電話で話し、イスラム組織ハマスは「イスラエルの占領に責任がある」「(イスラエルの)醜い人種差別主義が露呈された」とする声明を発表した。

エルサレムに住むパレスチナ人住民は怒りを募らせ、10年前の民衆蜂起(インティファーダ)以降、ほとんど見られなかった規模の衝突が複数カ所で起きている。

シュアファット地区では住民が治安部隊に投石し、治安部隊はスタン弾や催涙ガスで応戦。衝突は拡大して深夜まで続き、イスラエル側は大量の治安部隊を動員した。

別の地区でもパレスチナ住民が入植地に投石し、ゴム弾で数人が負傷した。エルサレムの旧市街近郊にある入植地にも火炎瓶が投げ込まれた。

パレスチナ赤新月社によると、この衝突でシュアファット地区を中心に100人以上が負傷した。

一方、イスラエルは3日未明、パレスチナ自治区ガザにあるハマスの建物などを狙って少なくとも8回の空爆を行った。これに先立ちパレスチナ側からイスラエルに対してロケット弾が相次いで撃ち込まれていた。

パレスチナの医療関係者によると、空爆で少なくとも5人が負傷し、うち1人は重傷を負った。

エルサレムで衝突、少年殺害で対立激化

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