(CNN) 中国南東部・広西チワン族自治区の玉林市に古くから伝わってきた夏至の日を祝う犬肉祭りで、地元住民と中国各地から来た動物保護活動家の対立が先鋭化した。
保護活動家のグループを集団が取り囲む場面や、大勢の報道陣にいら立った男性が「あなたたちが牛肉食をやめるなら、私たちも犬肉食をやめてもいい」と叫ぶ場面もあった。
市場の店先には犬や猫の肉がつるされ、鳥、ヘビ、家畜なども売られている。活動家によれば、玉林市では昔から犬肉を食べる習慣があり、祭の間だけでも推定1万匹の犬が処分されるという。各所に張られたラブラドル犬やゴールデンレトリバー犬の写真入りのチラシは、生肉の宣伝だった。
マスコミに注目されたせいで犬の肉が値上がりし、2011年の倍になったと不満を漏らす住民もいる。
食肉店の屋台では、犬肉をその場でさばいて地元の名物料理を作っていた。店主の女性は「犬の肉を食べるのは私たちの伝統。この文化は変わらない」と話す。ただしペットの犬は殺さないといい、店の隅にはこの女性の飼い犬がうずくまっていた。
犬たちを保護するために四川省から来たという活動家の女性(58)は、2011年に浙江省の金華で行われていた犬肉祭りで抗議活動を展開し、やめさせた経歴を持つ。玉林市での活動は今年で4年目。20人ほどの仲間の多くは自分たちの蓄えを費やして、犬や猫の保護施設を営んでいるという。
重慶市から来た女性(64)も、鉄工所で働いて貯めたお金を犬や猫の保護に注ぎ込んでいる。女性らが設置した仮設の保護施設をCNNが取材した時には、女性は死んだ子犬を抱いて涙ぐんでいた。妊娠した犬を保護して子犬が産まれたが、助けてやることができなかったという。保護した犬はほとんどがけがを負ったり病気を抱えたりしていた。その多くは抗生剤の投与が必要な状況だが、どこで入手できるかも分からないと女性は肩を落とす。
活動家が玉林市で保護した犬は今年だけで400匹以上。それでも殺される数に比べれば氷山の一角でしかない。ただ、玉林市でも動物の権利に対する認識は高まりつつあると活動家たちは話している。
犬肉祭りで対立 中国