(CNN) スペイン国王を39年間務めてきたフアン・カルロス1世(76)が18日、退位に関する法律に署名し、19日午前0時をもって長男のフェリペ皇太子(46)が王位を引き継いだ。
新国王のフェリペ6世となる戴冠式は19日朝に実施される。
カルロス1世は今年6月初旬、退位して皇太子に譲位する考えを表明。ヨットの元五輪選手だった皇太子に触れ、「国王として奉仕するのに必要な成熟さ、準備や責任感を保持している」と評していた。
「自らの経験と新たな世代の推進力を生かし、新たな段階の希望に導き得る資質を持っている」などとも述べていた。
スペインでは近年、王室絡みの汚職疑惑や不祥事が表面化。金融危機の後遺症や高失業率にあえぐ国民の不信を招いていた。
クリスティーナ王女と夫のウルダンガリン氏は脱税や資金洗浄容疑の渦中にあるが、夫妻は関与を否定。カルロス1世自身も2012年にアフリカへの象狩り旅行が発覚し、深刻な経済危機の最中の遊興が非難されていた。
新国王は王室関連の不祥事とは無縁の人物と受け止められている。国王就任後の最大の責務は王室運営などでの一層の透明化と指摘されている。スペイン国内では王室運営に必要な公費負担への反感が最近強まっている。
カルロス1世は1975年、長年の独裁体制を敷いたフランク総統の死去後に即位、民主化の推進役として国民の信望を得ていた。