韓国沈没船 1等機関士が公訴事実認める、船長らは争う構え

4月の沈没事故では300人近い死者が出た

2014.06.17 Tue posted at 19:44 JST

韓国・光州(CNN) 今年4月に発生した韓国の旅客船セウォル号の沈没事故で、船長ら乗員15人が殺人罪などに問われている裁判の2回目の公判が17日、光州地裁で開かれた。その中で殺人罪に問われているソン・ジテ1等機関士の弁護人は、ソン被告が船から脱出したのは、沿岸警備隊が乗客を救出できると考えたからだと述べた。

ソン被告の弁護人によれば、ソン被告は犠牲者の数が増えつつあることを知ってショックを受け、良心の呵責に苦しみ、自殺を図ったという。

弁護人はまた、公訴事実を認めて、事故で犠牲になった方々に謝罪したいというソン被告のコメントを伝えた。そして、被告は自分の取った行動について弁解するつもりはないが、体調が悪く、反省もしているとして、寛大な判決を求めた。

一方、他の乗員の弁護人は、乗員たちも船から辛うじて脱出したと指摘。事故原因は20年前に造られた船に客室を増設したことにより、船の重量とバランスに変化が生じたためで、非難すべきは客室を増設したセウォル号のオーナーたちだと主張し、フェリー会社の関係者や船の改造を監督すべき人々こそ罰せられるべきだと訴えた。

セウォル号は4月16日に済州(チェジュ)島に向かう途中で沈没し、乗船していた修学旅行中の高校生の多くが船内に閉じ込められた。乗客の安全について責任を負うべき乗員が、高校生たちが船に残っているにもかかわらず、先に船から脱出したことが明らかになり、韓国国民の怒りを買った。

これまでに292人の死亡が確認され、12人が依然として行方不明となっている。

この裁判では、イ・ジュンソク船長、ソン1等機関士のほか、2人の乗員が殺人罪に問われている。検察は、4人が救命ゴムボートや救命胴衣、乗客に避難を促す放送など、船の設備を十分に活用しなかったと主張。また乗員は、有効な救助活動を行い、乗客の救助要請を無視するのではなく耳を傾け、自分たちよりも乗客の避難を優先することもできたはずだと述べた。

しかし、イ船長は殺人など、自分が問われている大半の罪について無罪を主張している。

イ船長の弁護人は、当時、船は急激に傾き、90分以内に沈没したとし、乗員にも避難する憲法上の権利があったと述べた。

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