名門大学への第一歩? マンハッタンの幼稚園事情

2014.06.12 Thu posted at 12:21 JST

ニューヨーク(CNNMoney) 米ニューヨーク・マンハッタンに住む富裕層の間で、子どもを名門幼稚園に入れるための競争が過熱している。「ここで失敗したらハーバード大学に入れない」と、思い詰める若い親も少なくない。

マンハッタンに住むカナダ出身のライター、ジュディ・バタリオンさんは、英国人の夫との間の一人娘、ジーちゃんが生後半年を迎えたころ、周囲の友人たちから「入園準備教室にはもう申し込んだ?」「園のチャリティーに寄付した?」「カウンセラーはつけた?」と質問攻めに遭って驚いた。やがて、マンハッタンで子どもを私立幼稚園に通わせたいなら、これは避けて通れない道だと悟ったという。

かつて私立学校受験のコンサルタントを務め、保護者へのアドバイスを挙げた著書もあるカレン・クインさんによれば、マンハッタンの私立幼稚園の費用は決して安くない。年間4万ドル(約400万円)という園もある。親にはその額を出せる経済力に加え、激しい競争を突破するための作戦が必要だ。

アマンダ・ウーリーさんはマンハッタンで私立学校や幼稚園への入学、入園に向けたサポート・サービスを提供している。毎年約1500人の顧客が、1万5000ドルから3万5000ドルの料金を払って相談に訪れる。

ウーリーさんによれば、定員16人の幼稚園に400人が殺到するといったケースもある。ある親は社会性の発達を促す教室に子どもを通わせ、別の親は2歳の子を「バイオリンの天才」と売り込む。ウーリーさんがこれまでに相談に乗った中で、クリントン元大統領に推薦状を依頼した親が10人以上いた。1人はローマ法王に依頼したという。

バタリオンさんは周囲の勧めに従って、多くの園を見学した。科学実験室や陶芸スタジオ、屋上庭園、ヨガコーナーなど、どの園も素晴らしい設備が整っていた。「自宅より居心地が良く、私が通いたいと思うような園もあった」と振り返る。

出願書類は時に10枚を超え、子育ての方針や子どもの長所などについての質問が並んでいた。ジーちゃんの適性を判断するための体験入園や、保護者面接も経験した。最終的には8カ所に出願し、「一番堅実そうな園に決めた」という。ジーちゃんは現在2歳半。この秋から通園する。

一方、ウーリーさんは「自分の直感で決められない親もいる。名門に入れなければ親として失格といった脅迫観念にとりつかれ、階級制度にのみ込まれてしまうケースも多い」と指摘している。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。